台風11号がゆっくり沖縄を通り過ぎていきました。
勢力の強さを感じる風音がする時には、わが家の息子と猫たちは一斉に怖がるので、順番に付き添いのお世話が必要でした。
ふと、独り住まいの母が怖がっていないかと気になり、ビデオ通話をしてみると、いつも通りの笑顔で、父にいただいた生花に入っていた葉っぱの茎を、水につけておいたら根が出て、土に植えたらその茎から芽が生えてきたと、見せてくれました。
小さい頃から、母が育てる植物は、生き生きと育って、どんどん株を増やしていたことを思い出しながら、緑の命が繋がっていく瞬間を知らせてもらった気持ちになり、沖縄に来てから、母と、様々な瞬間を感じる場面を共に過ごしたことが次々と思い浮かんできました。
散歩の途中に、まるで話しかけるように私達の視界に舞い降りながら、沖縄の景色を楽しませてくれた蝶々たち。
大喜びではしゃぐ私に少し微笑みながら「綺麗ねぇ」と一緒に楽しんだ瞬間が、色彩豊かな紙芝居のように、めくれていきます。
小鳥の囀りが響く木々の茂みの近くにいた、仲睦まじい鳥のつがいの語らい。
目に入った自然の色彩や動きの瞬間が、心に刻まれて残っています。
今年の母の誕生日に降ったスコールの、キラキラした輝き。
少し声変わりし始めた息子の渾身の一蹴り。
また陽が差してきたら、沖縄に溢れている瞬間を捉えるために、母を連れて出かけて行きたいと思います。
ライター
首里石鹸 白鳥恵子