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首里散歩 Vol.163ドライブしよう2022年11月13日

沖縄に住むまで、ドライブのよさがまるでわからなかった。

ただの移動なのに「ドライブしよう」と誘い合うのがよくわからなかったし、同じ移動なら電車の方が本を読めるからいいと思っていた。そもそも運転が苦手だ。ナビをつかってもたいてい道に迷う。だから私はずっと、ドライブが好きなのは運転が好きか車を見せびらかしたい人だけだと本気で思っていた。(ごめんなさい)

が、沖縄に住みはじめてドライブというものの魅力がやっとわかった。20年以上の偏見を早々に吹き飛ばすほど、沖縄のドライブは特別だった。どこまでも追いかけてくる空の青、公道から見下ろす海のきらめきと潮のにおい、スピードを出すほどに顔を打ちつける強い風と、その風にまとわりつく湿度。ばばばば、と風になびく服の音と、どこまでもついてくる太陽のまぶしさ。

絶景をまるごと浴びているようで、これはドライブでしか無理だとわかる。県外で桜並木をドライブしても「歩いたほうが風と桜を感じられていい」と思っていたので、景色がよいというくらいでドライブを好きになれる気がしなかったのに、沖縄の絶景はあっさりとその壁を打ち破った。ドライブ最高!

それからは、好きなドライブスポットがたくさんできた。許田インターから降りてすぐの視界いっぱいに海が広がる光景とか、右も左もソーダ色の海がどこまでもついてくる古宇利大橋とか海中道路とか。

なかでも、いちばん好きなのは南城市。南城市そのもの。サトウキビ畑や赤瓦、白瓦屋根が点在する田舎道や、高台から見下ろす那覇の景色、そしてなんといってもベタベタなスポット「ニライ橋カナイ橋」。

( ※ニライ橋とカナイ橋が合わさり、“ニライカナイ橋”とも呼びます。 )

南城市にくるたび、それが仕事であってもなるべくこの橋をわたるルートを選んでしまう。何十回見ても飽きない。この場所が好きというより、南城市のさとうきび畑や民家が並ぶ田舎道を通過した先に、この橋があることが醍醐味だ。橋をトリにもってくるタイミングをはかりすぎて、むやみに南城市を車で30分くらい走り回ったこともある。

大きな建物や商業施設が見当たらない南城市のドライブは、天気がよければよいほど最高だ。そして実はこのコラムを書いている今、とても天気がいい。書きながら写真を選びながら、南城市ドライブ欲がうずうずしている。そしてそれを実行にうつせるのは沖縄に住んでいる特権だ。そうだ、ドライブしよう。

ただし、ドライブの魅力にはまった私もやはり運転は苦手なので、とりあえず隣の部屋にいる夫に「ドライブしよう」と今から声をかけてみようと思う。

ライター 三好優実

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