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首里散歩 Vol.194 カオスが生み出すもの 2023年4月18日

「五月雨式にすみません」
一生懸命理解しようと、質問してくれている、続いたメールの冒頭に書かれた美しい表現に、うっとりした。

沖縄では雨は生活に馴染んでいるから、全然いやなものではないし、傘をささない人も多い。
雨に濡れて、自由に生き生きと葉を広げる植物と、丁寧に聞き出してくれる質問がいい感じに重なって、なんだか風情だなと。本来の意味から離れて、すっかり頭の中で「さみだれ」の言葉からもらった情緒がキラキラ輝いていた。先方は謝っているけど、返事を丁寧に書くことで、この感覚が伝わるかな。

自分の引き出しの中に詰まっている言葉たち。
なんだか物足りない感じのする一つ一つを、色々な方向から組み合わせてみる。
あの方に合ったまとまりはどんなだろう。
記憶に残る、柔らかい笑顔を思い浮かべながら、作業は進む。

中学くらいの頃から、自分の頭の中に色々なアイディアや魅力的なものがたくさん詰まっていて、手に負えない感じを楽しんでいて、「カオス」という言葉がまさにそれを言い当てていると感じた。辞書で調べると、宇宙の起源の前の状態という予想を超える語源だったが、またそれが、自分の中の肯定的なイメージとしっくりきた。
無秩序に溢れる一つ一つには色々な側面があって、それがまた細胞分裂みたいに分かれたりくっついたり。
ちょっと時間はかかるけど、その時の感性で、閃きが強くなるまで、様々な方向からまとまりを作る。

先日行ってきた、グリーンフェスタで、『メディニラ 火の鳥』に、心底魅了された。
優しい気持ちが広がって、なかなかその前から動けなくなった。
ピンク色の大きな苞(ほう)に包まれた花の蕾たち。私の返事も、こんな風にまとまっていたらいいな。
それで、あの方の心に花を咲かせられるといいな。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子

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