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晴れ時々、首里 Vol.20 人と想いと笑顔が繋がる『コミュニティショップYuna』

わたしと母の“心惹かれるもの”が似ていると気づいたのはいつのことだろう。

綺麗な蒼のやちむんのお皿。
ヴィンテージの白薔薇のイヤリング。
サラッと着れる肌あたりの優しいリネンのワンピース。

1番の共感者であり、1番のライバルでもある母との買い物は、さながら宝探しの旅にでるかのようなワクワク感が伴う。たまに好みが合いすぎて、どちらが買うかのバトルになるのだが、それさえも楽しくなってくるのだから不思議だ。

ある日、祖母(母の母)の好きな小倉を使ったシュークリームがあると聞き、足をのばした与那原町で素敵なお店に出会った。

お店を見つけた瞬間に、無言で目が合う。

お互いの思っている事が手に取るようにわかり、思わず「ふふっ。笑」と笑みがこぼれる。
「まだ時間に余裕あるよね♪」と言い合いながら、扉をくぐったのが、今回の「晴れ時々、首里」でお伺いした『コミュニティショップYuna』さん。

素敵なお店に並ぶ、素敵な商品たちに胸を躍らせながら、店長の泉 圭子(いずみ けいこ)さんに取材をさせて頂きました。

※撮影時のみマスクを外して頂いております。

── お店を始めようと思ったきっかけを教えてください。

圭子さん 『コミュニティショップYuna』は、実は私個人のお店ではなくて、会社(株式会社プラット)で経営しているお店なんです。設計事務所をしている会社で、設計とは別に、デザインやインテリアの仕事など、いろんなことをしています。

その中でも、以前に『KAMI・GAKARI』というペーパークラフトのデザイン展を開催した時に、「作り手から生まれる新しいカタチ」に可能性を感じ、クリエイターさん達との繋がりを大事にしつつ、社長の出身地であるここ与那原町を、もっと人が集まるような、人と人とが繋がれる場所にしたいという思いで、『コミュニティショップYuna』がスタートしました。

── お店を始めたころはどんな感じだったのでしょうか?

圭子さん 元々が設計事務所だったので、お店の運営は初めてやることも多くて、みんなが手探りの感じでスタートしましたね。

うち(Yuna)は今年の6月でオープンして13年になるのですが、オープン当初は、今みたいにSNSもそこまで普及していなかったので、DMを大量に作って、いろんなショップやカフェを回って置かせてもらうという事をしていました。

作家さんにお願いして一生懸命作って頂いても、イベントの告知が行き届かず、なかなか集客に繋がらない事もあったりして…結構大変でした。

そんなことが最初の何年間はあったのですが、いつからか「与那原町のYunaです。」と言うと、「あ、わかります。」って言ってくださる方が増えてきて、心の中で「よし!よし!」と、思ってますね(笑)

── なぜコミュニティショップとつけたのでしょうか?

圭子さん Yunaは、単なる商品を販売するお店ではなく、 “コミュニティ(地域に根付いた地域共同体)”ショップとして、与那原の地域と深く関わりながら展開したいという気持ちでつけました。

こういうローカルな所でお店をやっていると、地元の方々も足を運んでくれますし、中には「こういうものがあったらいいな。」というご要望を頂いたりもします。お客様からの要望を取り入れて、量販店には無いような“ちょっと気の効いたプレゼント”に使えるようなものを置くようにしています。

最近は設計事務所が、カフェやセレクトショップをプロデュースしている所がすごく増えたので、意外とうちって草分け的な存在だったのかもしれませんね♪(笑)

── お店を始めたからこその繋がりを教えてください。

圭子さん 一番は作家さんとの繋がりですかね。作家さん同士って、意外と繋がっているのですが、うち(Yuna)とお付き合いしていく中で、作家さんの方から「面白いもの作りをしている子がいるんですが、もしよかったらYunaさんに紹介してもいいですか?」と、お声をかけて繋げてくださったり、企画展をする時に、私たちからの提案で、作家さん同士のコラボをして頂けたり。それこそお店を始めたからこその繋がりだと思います。

それに、普段うちにおいて頂いている作家さんは、ほとんどがお一人、もしくはお二人で制作されている方が多いです。そんな方々が、コラボを通して、新たな発見や気づき、「今回のコラボ、すごく楽しかったです!」と、嬉しいお声をいただけたりすると、私たちとしてもお声をかけてみて良かったなと思います。

── 印象に残っている作家さん同士のコラボはありますか?

圭子さん えー…難しいな。難しいけど、一番印象に残っているのは、ブンタロウさんとウラチさんっていう作家さん同士のコラボですかね。

元々、ブンタロウさんがウラチさんのすごいファンであり、コレクターなんですが、お二人ともうち(Yuna)に商品を置いてくれてたことからご縁を感じ、私たちからお二人にコラボのお話をしたところ大賛成してくださり、企画展が実現しました。

その企画展の後も、「Yunaさん、ウラチさんに風鈴の絵付けをしてもらったので、納品持って行ってもいいですか?」とブンタロウさんの方からお声をかけて頂きました。うちからお声がけをしたコラボをきっかけに、その後も縁が続いているのだと思うと、嬉しかったですね。

── 商品をお渡しする時は、どういう気持ちですか?

圭子さん お嫁に行く感じですね。最近では作家さんもSNSでご自身の作品を発信されていて、うちに納品されたタイミングでご来店される作家さんのファンのお客さんもいるので、作家さんに話す時も、「あの子はお嫁に行ったよ。」とか、「誰々のお家の子になったよ。」とか、そんな感じで話しています。

たまに、「どうか、うちの子になってくれ」と思うこともあるので、心の中で葛藤している時もあります。(笑)

── お店の内装にもこだわりが詰まっていると聞きましたがどんなこだわりが詰まっていますか?

圭子さん うちの内装は、すべて古い古民家を解体した時の廃材を譲り受けて、作っているんです。

写真:昔ながらの雨戸を利用して作ったテーブル
写真:古民家の扉に継ぎ足して作った扉

例えばテーブルも、昔の雨戸を利用して作っていたり、入口の扉も、元々の扉を背が足りない分だけ継ぎ足してつくったりと、元の形をできるだけ残しつつ、リメイクして使っています。

そうやって形が変わっても、繰り返し使っていける。昔からあったものをちゃんと未来に繋いでいく。そういう取り組みを、これからもしていきたいですし、私たちが取り組んでいくべきだと思っています。

Yunaに置いている商品も、ただ消費するためのものではなくて、作り手さんの想いを大切に、時にはお手入れしながら、繰り返し使っていく、そういう循環サイクルの中にありたいなと思っていますし、そんな場所でありたいですね。

── お仕事をしている中で、この仕事が好きだと実感する瞬間を、教えてください。

圭子さん やっぱり新しい商品たちが入ってきて、それを1番最初に見られるのは楽しいです。それにイベントの時だけでなく、何でもない日にもお客様が「また来たよ♪」と、顔をだしてくださったり、「同じものだったら、Yunaさんで買いたい。」と、言ってくださったりと、そういう事を思ってくださるのがすごく嬉しいですし、本当にありがたいですね。

── 普段から大切にしていることを教えてください。

圭子さん できるだけ色んな事を丁寧にしたいなと思っています。
お客様へのお声かけはもちろんの事、居心地の良いお店でありたいと常に思っています。

うちのような都心からちょっと離れたところにあるお店は、街中にある沢山のお客さんがいらっしゃるお店とは違って、皆さんゆっくり自分のペースでご覧になりたい方が多くいらっしゃいます。

最初から色んなことを聞きたい方もいらっしゃれば、ゆっくり見て気になるものだけ聞きたい方、静かに自分の世界・ペースで見たい方など、皆さん求めるものはそれぞれだと思います。私たちはそこを感じ取って、邪魔しない程度に、つかず離れずの距離感・空気感を大事にしたいと思っています。

── これからの夢を教えてください。

与那原町の事を調べると、歴史背景がすごくたくさんあって面白いんです。
昔はすごく賑やかで、首里への物流を担う街だったりと、そういう与那原のもつ歴史や、面白いところを商品にしていって、皆さんに伝えるという事をもっとしたいです。

役場とか、公共の目線で作る与那原のものとは違くて、私たちのような雑貨が好きな人達と、沖縄の物作りをしてる方々とが“素敵で可愛いもの”っていうラインに与那原の面白さや歴史を詰め込んだ商品を作っていけたら素敵ですよね。

沖縄の小さな町の、小さなお店が、“人と人とを繋げて楽しそうなことやっている”。そういう発信がうんとできたらいいですね。

※撮影時のみマスクを外して頂いております。

作家さんの皆さんや、扱う商品への愛に溢れたお話を聞かせてくれた圭子さん。
伝えたくなる沖縄生まれの雑貨たちと、あたたかな人と人との繋がりが集う、『コミュニティショップYuna』さんには、ついつい見に、会いに、話に、訪れたくなる魅力が、そこかしこに溢れています。

私たちが暮らしの中で当たり前と思っていたものの後ろには、たくさんの方の想いがありました。ぜひ、大切な方を思い浮かべながら、足を運んでいただけると嬉しいです。

首里石鹸 中里ゆきこ

【コミュニティショップYuna】
DATA:〒901-1303 沖縄県島尻郡与那原町与那原548
営業時間:11:00~18:30
定休日:火曜日・水曜日
※ご来店前にインスタグラムでのご確認をよろしくお願いいたします。
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/yuna_kuru
駐車場:有り(4台) ※道斜め向かいにございます。
TEL:098-988-8792

~編集後記
後日、Youtube動画の撮影で、再度お伺いさせて頂きました。色々な楽しいお話を聞かせて頂く中で、母の日が近いという事で、こんなお話も聞かせて頂きました。

圭子さん 母は昭和11年生まれの現在87歳。戦後の経済成長期に職業婦人として、大学病院の女性薬剤師第1号として男社会の中に飛び込み、負けじと戦ったバイタリティのある人でした。なので、わたしと姉が小学生だったころはとても厳しくて「鬼よりこわいお母様・仏のようなお父様」と、姉とよく話していました (笑)

でも、それは小学生頃までのことで、中学高校と進むにつれて、母の印象はどんどん変化していきました。

「鬼より怖いお母様」はいつしか消え、いつも綺麗で芯が強くて、色んな事にチャレンジしつつ、でも少し天然なところもあり、お料理も上手で…と、母の魅力がたくさんあることに気づきました。

母が79歳の時は、甥っ子と姪っ子を連れた沖縄旅行で、一緒にパラセーリングを楽しみました。今も元気で、地元で姉のヨガ教室に通ったりしています。

そんな母は、私の一番身近な目標というか、こんな年のとり方したいと思う、道しるべのような存在ですね。


そうお母さまの事を話す圭子さんは、どこか誇らしげであり、とても嬉しそうでした。
わたしも小さな頃は気づかなかった母の魅力に気づくことが年々ふえているような気がします。お互い年を重ね、母娘であると共に、一人の人として向き合えるようになったことが、目に見えないけれど、確かに存在する母との繋がりを深めているのかなと、お話を聞かせて頂きながら思いました。

首里石鹸の公式Youtubeサイトにて、「晴れ時々、首里」で取材させて頂いたお店を、記事と連動して配信させて頂いております。

今回取材を快く受け入れてくださいました『コミュニティショップYuna』の店長 泉 圭子さんと弊社の甲斐ちゃんとが楽しくお話しておりますので、ぜひご視聴いただけますと嬉しいです♪

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