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首里散歩 Vol.219 はじめての夏休み

子どもができるということは、夏休みができるということかもしれない。

フリーランスの私にはこれまで、夏休みどころか連休すらほぼなかった。

むしろ夏は過渡期。

昼は汗水たらして動き回り、夜は遅くまでPCに向かうのがいつもの夏である。

だけど今年は5日間の休みをつくり、息子を連れて夫の実家に帰省した。
息子にとって、夫婦にとって、はじめての夏休みだ。

夫の実家はとても素敵な田舎なので、観光や買い物はそこそこに、田舎暮らしを十分に満喫させてもらうことにした。

お庭のプールではしゃぎ、庭の畑で採れたスイカをその場で食べ、なににも急がず、のんびり過ごす。

沖縄ではできないことというよりも、わが家ではできない体験ばかりだ。

そんな時間を過ごしていると、ああ私はずっと、息子にこういう時間を与えたかったんだなと気づく。

自然のまんなかに身を置く息子がかわいくて、夏休み、最高!とニンマリした。

私たちの夏休みはあっという間に終わり、たくさんの思い出とともに帰路につく。

沖縄についた瞬間、息子はパチッと目を覚まし、盛大に泣いた。
バーバやジージがいない街だとわかったのだろうか。そんなことを考えてしまう私は、近隣に親族がいないことを息子に申し訳なく思っているのかもしれない。

空港を出ると、毎度ながら沖縄の湿度に驚いた。
こんなにも私たちの日々は湿気を帯びているのか。
観光客だったころは、飛行機を降りて暑さと湿気を浴びた瞬間「沖縄だ!!!」と胸が高鳴ったものだった。今は湿気を浴びた瞬間、帰ってきた!という気もちになる。そういえば、いつからそうなったんだっけ。

異国情緒だった高い湿度は、いつの間にか日常のものになった。そしてその感覚は、移住者の私よりも生まれたときからここに住む息子の方が、より故郷の記憶として刻まれることだろう。

ひとりの人間の大きな記憶を私が握っている。
その責任に少し怯えつつ、来年も楽しい夏休みにしようと思った。

ライター
三好優実