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首里散歩 Vol.224 雨に思う 

ここのところ雨が多く、沖縄でも秋雨という言葉が使われるような時期に差し掛かった感じがするけれど。

沖縄の場合、朝は爽やかに晴れていたのに、急に遮光カーテンを閉めたように空が暗くなって雷雨になったり、今にも振り出しそうな厚い雨雲から、予期せぬタイミングで顔を出す太陽があまりにも強過ぎて…夏よりも日焼けしてしまったりと、毎日かなりドラマチックだ。

東京に住んでいた頃は、雨の日といえば、お気に入りの傘を持っていくのが嬉しかった。
大好きなお店の、黒地にステッチを活かした魔女のようなデザインの傘をかなり長く愛用していて、どんなにジメジメしていても、その傘を持つとウキウキしたし、レインコートもTPOに合わせていくつもお気に入りがあって、雨の日はファッションを楽しめる日だった。

…あらためて、ずいぶんと様変わりした自分に、少し笑ってしまった。
沖縄は、雨は度々降るし、そもそも終日雨という日は少ないので、昔は信じられなかったけど、多少の雨なら傘もささなくなってしまった。
傘は、機能性を重視して、強風でも壊れないタイプのものをカバンに入れている。雨風が強いと、傘をさしても濡れるし、おまじないみたいなものだけど。
豪雨で全身びしょ濡れになり、服と靴を買って着替えたこともあって、そんな状況で選んだ洋服がなんだか可愛いと、想定外に友達に褒められたり、雨でかなり濡れても、その後の日差しで乾いてしまうことも多くて、ヒヤヒヤした経験も積み重なると安心感に変わってきた。

段々と、構えていたものが少しずつ外れていき、楽になって、今まで見えなかったものも見えてくる。
時間の流れ、海と大気と自分を感じたり、天気を多面的に受け止めるようになった。
歳を重ねたこともあるけれど、良い歳の重ね方ができているような気がする。
湿気を帯びた空気のにおい、今日の洗濯は外に干せるかな?
さて、もうしばらく、初秋の、ドラマチックな毎日を愉しむとしますか。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子