暑い陽射しもだんだんと和らいできた9月のある日、入店後すぐに色とりどりの石鹸の前で、真剣に香りを選び始める客様がいらっしゃいました。
「こんにちは。贈り物をお探しですか?」とお尋ねすると、「今日は自宅で娘と一緒に使う石鹸を選びにきたの。あなたのおすすめの石鹸を教えてくださる?」と穏やかな優しい口調で返してくださったのが、お客さまとの出会いでした。
話しを聞くと、嫁いだ娘様が、体調を崩して最近一時帰省されたとのこと。
「娘の好きな香りで、少しでも気持ちを癒せたらなと思って、、」と、娘さんを思い浮かべる横顔は、優しい母の愛情がうかんでおりました。
娘様の好きな香りをお聞きしながら、おすすめの香りをいくつかお伝えすると、「これもいいし、こっちも良いな…」と、娘様を想いながら石鹸を選ばれており、その姿に母娘の温かな絆を感じるとともに、少しでも病気回復への手助けになったらいいな。
そしていつか娘さんとご一緒にご来店頂けたら嬉しいな。と思いお見送りいたしました。
そんな出会いからしばらくして、「先日はどうもありがとう。娘もすごく喜んでくれました。」と再びご来店くださったお客様。「次は娘と一緒に伺いますね。」と、話すお母さまの笑顔が更に明るくなったように感じ、「あぁ、元気になるお手伝いができたんだなぁ。」と胸が熱くなりました。
娘を想う母の気持ちが込められた大切なプレゼント。そんな出会いを与えて貰えたことに感謝をし、今後もお客様と優しい気持ちを分け合えるよう、日々丁寧に向き合っていこうと思います。
首里石鹸 工藤 英里