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首里散歩Vol.18 沖縄の力

先日の首里城の火災は、沖縄を愛する人々に大きな喪失感を与えました。
急に秋らしくなった気候が寂しさを誘い、翌日、首里城へ車を走らせました。

首里城跡を背後に感じながら、琉球石灰岩が敷かれた石畳道から小道に入った先にある、
内金城嶽(うちかなぐすくたき)にたどり着きました。

340年前、この森を通る度に村人が霊気に打たれるので、
これはただ事ではないと琉球王府に願い出て拝所を置き、
神々と王府の交流の場となったという場所で、6本もの大赤木が聳えたち、
その一番奥にある大木は推定樹齢300年にも及ぶと言われています。

首里城が焼け落ちた1945年の沖縄戦で、一部の石畳道とこの内金城嶽だけが残り、
このようなアカギの大木群が人里にみられるのはここだけになったそうです。

移住して間もなく、大好きな首里城の周りを散策していた時に、
近くのカフェの店主に勧められて足を踏み入れました。

戦火さえ寄せ付けずにどっしりと構え続けたアカギとその周りの草の香りに包まれると、
「ずっと沖縄を、人々の心を見守ってきてくれた」という感謝の気持ちになり、
とても元気をもらえます。それからというもの何度となく訪れている場所です。

樹々の香りに包まれて一回りして帰りかけたところで、
どこからか猫が現れて、声をかけてきました。

振り返っては先に進み、また声をかける、を繰り返すのでついていくと、
なんと先ほど長らく見入っていた一番奥の大赤木の手前まで案内されました!

首里城は、戦後、多くの人々の努力によって復元されてきました。
それまでも何度となく火災に遭っても再建された歴史があります。

今こそ、沖縄の文化の素晴らしさや美しさを意識的に守っていかなくてはいけない、
そんな声にも感じられる時間でした。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子