Blog

首里散歩 Vol.235 私だけの領域 

ずっとずっと何かが足りないような気がしていた。

居間に並べて置いていた息子の机を、将来の一人部屋に移してから、残った私の机は、所在もなさそうに壁に寄せられていた。

毎日がやることで溢れていて、どれも必要なことだけど、やったからと言って、家族に認められるわけでもないような気がしてくる。

もっと集中して、物事を深く捉えて、勉強も仕事もして、私が活かせる行動を増やしたい!そんな、心の奥底でずっと渦巻いていた想いに、ふと気づいた。

そして、とある秋の日、窓際の良い場所に、自分の書斎エリアを作った。

雑誌で見た、リモートワークの部屋作りのアイディアはいただいたものの、実際は、キャットタワーの横を間借りしたような、小さな場所だけど。

いつも作業のお手伝いが過ぎる猫たちからキーボードを守る台も設置して、私だけのアイディアが膨らむ、大切な空間となった。

今までは億劫に感じることもあった写真の整理も、大きなディスプレイで、その日の雲と話をするように進んでいく。

しばらく会えてない友達に連絡してみたくなったり、新しいソフトの使い方を調べて、作業に活用したり、勉強が途中になっていた学びの資料を読み直したり、読んだ本の感想をまとめたり。
懐かしい曲を聴きながら、今まで抜け落ちていた、自分時間が過ぎていく。

今からいったい何するつもりなの?

ちょっと笑って自分に問いかけながら、浮かんでくる色々なアイディアで、日常生活もアップグレードしていく。

ふと散歩中に、鮮やかな色合いのコバノランタナが目に入ってきた。

ふわふわと羽根を動かしながら蜜を吸っていたシロオビアゲハを見て、なんだか書斎にいる自分を見ているような気分になった。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子