その日は朝から、家族みんなで南城市に向かった。
車を走らせ40分。いつだって南城市は、ありのままの自然を悠々と提供してくれる大好きなまちだけれど、その日は特に強い日差しで出迎えてくれた。
照り付ける太陽に導かれるようにして、辿り着いたのは畑。
南城市で畑を持つ友人、もとい友人グループのにんじん収穫を手伝いに来たのだった。
なぜグループかというと、実はこの畑、数人のメンバーで運営しているシェア畑なんです。
みんなで種を植え、みんなで収穫する。シェアするのはメンバーだけじゃなく、たとえば地元の学校の子ども達が種を植えて、この日のようにランダムに集まった人々が収穫をしたりするらしい。いわば循環型の畑である。
畑にはにんじんの葉がふわふわとひしめき合っていて、もはやどこを掘ってもお宝にありつける状態だった。
1歳の息子はもちろんよく分かっていないけれど、はじめて見る野菜の生態系に目をぱちくりさせ、土遊びをひたすらに楽しんでいた。
子が楽しんでくれれば、と思って連れてきたけれど、気付けば私も夢中でにんじんを掘っている。
土まみれのにんじんは、しばらく埋まっていただけあってひんやりと気持ちいい。太陽に向かって長く伸びた葉と、にんじん本体の温度差に命を、地球を感じた。
スーパーで見る野菜より断然おいしそうだと思うのは、自分が掘り出したひいき目なのかもしれない。
だけどやっぱり、こんなにおいしそうなにんじんは見たことないかも、とニンマリした。
ときどき、子どもに提供できる自然体験の少なさに申し訳ない気もちになる。
だけどこうやって畑をシェアしてくれる友人がいて、そこに家族みんなで飛び込んでいけるのは、なんだかとても誇らしい。
収穫したにんじんを少しいただき、葉っぱから実の部分まで余すことなくいただいた。やっぱり、これまで食べたどのにんじんよりも特別においしかった。
ライター
三好優実