3度の食事で朝ごはんがいちばん好きだ。
朝は胃も頭もからっぽで、おいしい感覚が染みわたるから。
というわけで先日、前から行ってみたかった瀬長島ウミカジテラスの朝市へ。
その日は10月の終わりにもかかわらず、汗がしたたり落ちるほど暑かった。
暑い朝。湿気を帯びた海沿い。ずらりと並ぶ魅力的な朝ごはん。
そのどれもが日本的ではなく、だけど”アジアの朝市っぽい”というほど雑多でもない。その雰囲気は間違いなく沖縄だけのものだった。
それぞれに魅力的な朝ごはんを物色し、ぐるぐる徘徊したけれど、結局、事前情報で目を付けていたお店に並ぶ。
さらに結局、目を付けていたわっぱ飯を選んだ。
どうやらわたしは、一見素朴だけど明らかに手が込んでいるものほど、自分では作れないオーラを感じて「これだ」と思うらしい。見るまで迷っていたのに、見た瞬間これしかないと即決した。
食べるとやはり、しみじみおいしい。
うれしくて味わっていたら、楽しみに残しておいた魚を息子がパクリと一口で食べた。一瞬にしてメインディッシュが消えてしまい、思わず笑う。「食べたな~?」と言い、わたしも息子のごはんをつまみ食いすると、息子もゲラゲラ笑った。
もしもわたしが、突然すべての自由を奪われてしまったとして、取り戻したいと思うのはこういう時間だろうなとふと思う。
食べ終わった後もすこし歩き、チャイを見つけて買った。一口飲むと、すでに汗だくの体が、隅々まで温まっていく。もはや温まるというより熱が爆発するようだったが、かまわずチャイを飲み干した。わたしは吹き出す汗を拭きもせず、息子を抱きかかえて坂道をゆっくりと下りていった。
ライター
三好優実