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首里散歩 Vol.338 風と光の語らい

最近、「また行きたい」と思っていた場所に、訪れる機会が続いた。

2月にロンドンから姉と甥っ子が遊びに来て、琉球ランタンフェスティバルに行ってきた。

むら咲むらに一緒に行くのは7〜8年ぶり。

当時、手のかかった子ども達は良いカメラマンとなり、幼い頃住んでいた香港の記憶も重ねながら、ランタンの光の中、懐かしい時代から沖縄で過ごした時間までを、一緒に振り返るような時間となった。

また、姉達が初めて訪れたガンガラーの谷では、これまでツアーに参加したことがなかった母も行きたいと言うので、私と交代して、最近は頼りにしている息子にフォローを託した。

その間、私はガジュマルの樹の下で、車の窓を開けて過ごしていると、何度か、語りかけてくるような風を感じ、「今日は来ないの?」と言われているような、不思議な気持ちに包まれた。

時間になると、楽しそうに談笑しながら戻ってきた母達。

解散場所で、ガイドさんに、沖縄の自然や蛇の魅力について色々教えてもらい、すっかりそのお人柄に魅了された。

いつもは約2万年前にこの辺りに暮らしていた港川原人のことばかり考えているツアーの終着地点で、今回は素敵な出会いに恵まれた。

そして先日、本当に久しぶりに、首里城に行ってきた。

私も息子も、思い出が詰まった首里城の記憶を、塗り替える勇気がなかなか持てずにいたけれど、今回は、息子の恩師の団体の活動だったので、機は熟した感があった。

見て回る間、何度か胸に迫る瞬間もあったけれど、何よりも、私たちが立ち止まっている間に、アイディアと技術を駆使して着々と進められてきた再建の様子に、見にきて良かったと、再建途中の首里城を心に焼き付けた。

後で聞くと、息子も同じような想いで、漆を何層にも塗り重ねている現場や、再建の計画から説明している動画を見て、感動で足の震えが止まらなかったという。

すっかり大きな力をもらい、火災後も何度も訪れていた樹齢300年の大アカギに立ち寄ると、その日も厳かに、たおやかに、佇んでいた。

見上げたまましばらくすると、また語りかけるような風が、繰り返し吹いてきた。

その語らいに誘われながら、樹々の間から街を覗くと、眩い光が差し込んで微笑んでいるようだった。

想いのある場所には、必ず良い時期にご縁があるのだなと、次の風と光の語らいを楽しみにしている。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子