初夏の沖縄観光、竹富島へと足を延ばした。
目的は、あのテレビでも観た有名な水牛車に乗ること!
時折り小雨が降る中、到着した島は湿った空気が蒸し暑く、そして港の雰囲気からもうすでに、のんびりゆったりとした空気感。

水牛観光の乗り場に到着してみると…日本人を見つけるのが困難なくらい外国人観光客がたくさん!
国籍も様々な人々が列をなし、ズラっと紹介されている水牛さんの写真を見ながら、急に異国の地に着いたような錯覚でそわそわしながら順番を待った。
水牛にも性格があって、つい足早になってしまうクセがあったり、コースを外れてしまったり、途中で歩くのをやめてしまったり…一筋縄ではいかないそうで、このツアーを率いることができるのは訓練された雄のみの、選ばれし精鋭だという。

そして、わたし達を案内してくれるのは水牛舎一番の頭脳派イケメンのスター、ニーランくんに決まった。
まだ若い水牛くんだがどっしりとした貫禄で、大人が何人も乗っている牛車を全員が乗り込んだと同時にゆっくり力強く引っ張り始めた。
サンゴを積み上げて造られた石垣と、赤瓦の屋根が続く集落の路地の中、湿った砂利道の上をシャリシャリと音を立てながら、縫うようにのんびりと進んでいく。
そして、牛車の揺れが身体に馴染んできた頃合いに有名なあの島唄のイントロに沖縄三線がトゥンと弾かれ、生演奏が始まった。
路地の至るところに咲いているハイビスカスやブーゲンビリアを青々とした濃い緑色の葉っぱが引き立てて、透き通った水色の空、三線の音色、水牛の歩くリズムが見事に調和した景色は、どこを切り取っても絵画のように美しかった。
世界中から人々が訪れるのは、この体験を、この景色を、映像や文字では伝わらない感覚を、自分の肌で感じるために来たんだなと実感しながら、乗り合った誰もが皆、思い思いに言葉は発せずその時間の経過を、楽しんでいるようだった。

実は、このツアーを支えている1番の立役者は水牛をコントロールしているガイドさん。
竹富の魅力を案内をしながら、いい頃合いに三線を弾き、時には水牛の排泄物をサッとさりげないタイミングでバケツで受け止めて町の環境も守っていた。
このスター水牛ニーランくんを輝かせ、町全体を守り魅力を引き出すガイドさん。
こんな風に周りを支え、1人何役もさりげなくこなす姿は私にとって景色と同じくらい感動のポイントだった。

水牛を降りる頃に雨が止み、街を散策。
竹富島の街並みを一望できる場所へ登り、360度見渡した高台からの景色と清々しさ、サーっと風が通った時の感覚は今でも忘れられない気持ちの良さだった。
この感動をカメラに収めようと、まだ少し濡れた石の上に脚を乗せ、滑りながら撮った一枚。
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写真を見返しては、あの時の自分にかえり、竹富島の水牛のように、周りの人にサポートをしてもらいながら、ゆっくりゆっくり前に進んできて今の自分があることを確認している。
ライター
まちこ