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首里散歩 Vol.352 温かい時間

幼い頃は、母を独占しがちな妹がいつも羨ましかったけれど、三姉妹の中では一人結婚も遅かったので、母の、目を細めるような優しい笑顔には満たされて過ごしてきた。

移住した沖縄にも両親を呼んだので、最近は、自分ばかり身近で娘時間を過ごしていることを、申し訳なく思うこともある。

白鳥のお義母さんも四姉妹の次女ということもあり、お料理を教えてもらったり、手芸やドラマ鑑賞などを一緒に楽しんだり、まるで年の離れた姉のような感覚がある。

あまり精神的に人に頼ることのない私も、息子が生まれた直後、大きな変化に戸惑っていた時に、ふわふわの温かい手でマッサージをしてくれたり、親身に話を聞いてくれたことがとても嬉しくて、それからも感謝しながら、愛を受け取って過ごしてきた。

そんな恵まれすぎている環境の私が母となって14年経つのだが、毎日が忙しなく、うまく立ち回れないことだらけで、これまで自分がもらってきた温かい時間は、息子になかなか受け渡せていないように思う。

先日、息子のことで、一生懸命準備してお願いしていたことがうまく進まず、私にしては珍しく、ウチナーグチで言うと「わじわじ(不機嫌になる)」が治らず、意気消沈したことがあった。

説明がわかりにくかったか、立ち回り方が悪かったのか、もともとしっかりしていない自分がいかに頑張ったところで、良い環境は作れないような気もしてきたところで。170センチ近くに成長した息子が、
「お母さんの気持ちはよくわかる」
「あと、お母さん、ありがとう」
「頑張ってくれてるの、嬉しいよ」と、
まるで、うまくいかなかった幼い子どもを慰めるように、話してきた。

なんだか小さい頃の息子の困った顔が思い出されて、ふっと笑ってしまい、子どもじみた、わじわじモードになっていた自分が少し恥ずかしくなったけれど、年齢や性別を超えて、二人の母に通じるような温かい時間を、息子がもたらしてくれるなんて素敵だなぁと、なんだか幸せな気持ちになった。

「きっと、おばあちゃん達からの遺伝なんだはず」
(ウチナー友達がよくこんな言い回しをするのが大好きなので真似してみる)と確信して、母達への感謝がさらに膨らんだ!

母の日には、息子と一緒に、母達と語らいたいと思う。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子