それはライカムに行った日のこと。
ライカムとは沖縄市にあるショッピングモールのことで、ここに来るといつも息子は屋上に駆け上がり、みんなの憩いの場となる場で大きな声でアンパンマンコールをはじめる。
この日も例の如く、アンパンマンショーの司会の人になりきり「さあみんな!大きな声で!アン!アン!アンパンマン!」と観客(親)に呼びかけていた。
わたしも照れる気持ちを押さえ観客になりきる。

するとその時、小学生くらいの子ども3人組が「アンパンマンあるよー」と声をかけてくれた。
どうやらUFOキャッチャーでアンパンマンとチーズの人形をとったらしい。人形を袋から出し、わぁ!という顔をした息子に人形を触らせてくれた。
イマドキの小学生は親切だなぁと思いながらバイバイし、お昼ごはんを食べに館内に戻った。お昼を済ませ、館内をウロウロし、3時間くらい経った後、ふたたび屋上へ。

走り回ったりおやつを食べたりして過ごしていると、遠くから先ほどの小学生3人組のうちの1人が近寄ってきた。坊主の男の子はまっすぐに息子めがけて歩いてくる。
「また会ったね~」と声をかけると、彼は無言でチーズの人形を息子に渡した。
息子もわたしも驚き、「え?くれるの??」と聞くと「取れたから」とさらり。どうやらもう一度UFOキャッチャーに挑戦し、GETしたらしい。
すでに持っている人形、2個目。息子にプレゼントするためにもう一度チャレンジしてくれたとしか思えない。しかも人形を渡したらすぐにどこかに消えた少年。館内中、息子を探して回ってくれたとしか思えない。

小さな体から注がれた大きな優しさに、わたしはただただ感動した。
息子がいつか大きくなった時、少年のように優しくなってくれたら嬉しい。
そのために今わたしにできることは、息子にたくさん優しくすることなのだろう。
ライター
三好優実