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首里散歩 Vol.357 ひとり時間も大切に

沖縄を訪れるたび、見たい景色も増え、行きたい場所も変わり、新しい発見をしたくなる。

私にも、今回こそは!と密かにやってみたいと思っていたことがある。

それは、一人で散歩をすること。

沖縄に出会った時にはすでに長男がいた私は、一人で沖縄をゆっくり見たことがない。日頃から一人になる時間のない私にとって、いつか叶えたい願いの一つでもあった。

いつの間にか、後追いも夜泣きもしなくなり、朝目覚めると一人で起きて来られるまで成長した子どもたち。

『早朝にでも、一人で散歩してみようかな。』

就寝前、そう思った私は「朝起きたら散歩してくるから、子どもたちをよろしくね。」と主人に伝えた。
翌朝、私は子どもたちを起こさぬように、部屋をそっと抜け出した。


待ちに待ったこの日。

そのはずなのに、一人で外出したことに罪悪感を抱いた私は、もやもやした気持ちを吹き飛ばしたくて、繰り返し深呼吸をしながら、ゆっくりと海沿いを目指して歩き出す。

目の前に広がる、すーっと澄んだ青空と、しーんと佇む街並みと。
まだランナーと私だけ。

独身の時は、思いつきでぶらりと一人旅をしていた。
デッサンが趣味だった私は、旅先で撮った写真と思い出を巡っては、時を忘れて絵を描いていた。

『またいつか絵を描きたいな。』

そう思わせてくれる、沖縄の色鮮やかな花々。

目を奪われて立ち止まっては花の名前を調べ、私時間を心ゆくまま楽しんだ。

いつもは賑やかなフォトスポットも独り占め。

月のオブジェにちょこんと座り、暁月夜に輝く本物の月を見つけては、何も考えずにただ海と空を眺めていた。

海風がふわりと優しく頬に触れるのが心地よくて、しばらく佇んでいると、とっても美味しそうな香りがー。

ごはんのいい香りに、すぐさま家族の顔がよみがえる。

朝食を買って、家族のもとへ帰ろう。

『お兄ちゃんは限定商品がとにかく好き。ボリューム重視のパパはこれだな!ちびっこたちはシンプルなポーたまが好きだよね。』

家族のことを考えて心躍らせている私。
気がつけば「お母さん」に戻っていた。

時計の針は瞬く間に7時を回り、出来立てホヤホヤの朝ごはんを片手に早歩きで部屋へ戻ってみると…
まだ寝静まったまま。

ぽかんとした寝顔とダイナミックな寝相を見て、自然と笑みが溢れた私は、子どもたちにタオルケットを掛け直しながら

『一人の時間をありがとう』と、心の中で感謝した。

日々時間に追われて、自分らしさを見失いがちだけど、沖縄の景色が語りかけてくれる気がするんだ。

『肩の力を抜いてごらん。よんなーよんなーしようよ』って。

だから私はきっと、また一人で沖縄を散歩する。

自分らしさを見つめるために。

ライター
YUKAHA