ずっと行ってみたいと思っていた大石林山が、いつの間にか「アスムイハイクス」という名前になっていた。リニューアルしたらしい。
それは行かねばと、取材をかねて行ってきた。
「アスムイハイクス」
ネーミングを聞いた時、失礼ながら「絶対に覚えられない名前だ」と思った。
どうやって覚えようかアスムイハイクス…。と思っていたが不思議なもので、いくら難しい名前でもその意味を知れば覚えられるらしい。語源を知ってからは、二度と間違えなくなった。

アスムイハイクスという名前は、琉球神話の中で、創世神が最初に創ったとされる聖地「安須森(アスムイ)」と、ハイキングを掛け合わせた言葉らしい。
語源を聞いてから実際に巡ると、あらゆるスポットが神秘的に見えてくる。
濃ゆい緑、ごつごつした岩に澄んだ空気、どこからともなく聞こえる虫の声。
神話とともに、やんばるという地の真の魅力の真ん中に立っている気分になる。




大自然にやすらぎながら、「なんでガジュマルってこんなに強そうなんだろう…」と思い、「植物って生命力すごいよな」と感心したが、最後にはなにかを考えることをやめて、ひたすら自然を浴びていた。
太陽がまぶしく、空が近い。
あっという間に歩き終えた後、同行してくださった館長がこう言った。
「僕たちは“守る観光”を大切にしているんです」。
この場所の価値を知ってもらわないと、何も知らない人が開発してしまう。そうならないための「観光」なのだそうだ。
そのため広大な土地の3分の2は開発せず、ありのまま残しているらしい。一見言いづらい名称も「守るため」の一環なのだと思った。
沖縄には、大切な場所がたくさんあり、その価値をすぐに理解することは難しい。
けれど、せっかくこのまちが好きで暮らしているのだから、価値を知り、守るための観光がしたいと思った。

ライター
三好優実