沖縄のおやつといえば、サーターアンダギー、ちんびん、ぜんざい、そして! しょっぱい系代表の亀せんべいと塩せんべい。

見た目は普通の、なんてことない揚げ煎餅。亀せんべいは亀の甲羅のような形をしていて、塩せんべいは丸くて平べったい。しかも複数の沖縄メーカーから販売されている。

沖縄のせんべいとの出会いは、私がまだ主人と結婚する前、主人の妹さんとスーパーに行ったときだった。
「かなえさん、亀せんべい食べたことあります?」と聞かれ、
「や、初めて見たよ!」と答えると、
「え!? 内地(沖縄の人が本土のことを指して使う言葉)にはないんですか!?」と、妹さんがちょっと驚いたのを覚えている。
すると彼女は、あるメーカーの亀せんべいを手に取りながら教えてくれた。
「亀せんべいって、いくつかのメーカーが出してるんです。でも競い合ってはいないんですよ。」

ん? そういえば、価格もだいたい同じだし、隣にある塩せんべいも似た雰囲気をまとっている。
普段、会社員として働いていると、競合がいるのは当たり前で、「うちの強みは〜」とお客様に説明するのも当たり前。
でも、沖縄ではそれをあまり感じない。
不思議に思って少し調べてみると、琉球王国時代からの文化的背景があるそうだ。そこでは「競争よりもゆいまーる(助け合い)」や「結(共同体意識)」を重視する傾向があり、また離島という環境から市場が小さく、競争よりも協力関係を築くことが大切だったのだという。

これって、今の私たちにとっても大切なことなのではないだろうか。
日本から見れば沖縄は離島。周りを海に囲まれている。けれど、世界から見れば日本もまた、同じく海に囲まれた島国だ。

私はちょうど「ゆとり世代」で(笑)、「ナンバーワンじゃなくてオンリーワンになれ」と言われて育ってきた。
でも、オンリーワン以上に大切なのは、この「結」の精神なのかもしれない。
沖縄のおせんべいから学ぶ、ゆいまーる。

もしお土産屋さんやスーパーで沖縄のせんべいを見かけたら、ぜひ手に取ってみてほしい。
そこには、素朴な美味しさと、海に囲まれた島のやさしさ、そして助け合いの文化がぎゅっと詰まっているから。
ライター
かなえーる