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首里散歩 Vol.394 瓶の中の沖縄と私

あまりにも性格が出過ぎて笑ってしまう。

「あ、これで!」と即決する人。
一つひとつ丁寧に嗅いでから「これが良い」と選ぶ人。
そして、何度も瓶を持ち替えながら「どれにしよう〜」と迷い続ける私。

訪れたのは香水づくり体験だ。

机の上にずらりと並ぶ茶色い小瓶を順番に手に取る。

海風に吹かれているような爽やかさ、暑い日に喉越しを通る柑橘のスカッとした清涼感、森の中で深呼吸をした時のような晴れやかな香り。

一つひとつに情景が浮かぶ。


まずはベースとなる精油を7滴。

「1、2、3…」と自然に声が出る。

次にトップノート、ミドルノート…と順番に選んでは少しずつ混ぜていく。

最初は賑やかに香りを選んでいたのに、いつの間にか言葉が少なくなり、香りと静かに向き合っていた。

「どれが好きか」で選んでいた香りも、いつの間にか「どんな気分になりたいか」を考えていた。

自分の思考や個性が形になっていくようで、なんだか嬉しかった。

精油を混ぜるたびに香りを確認する。ほんの1滴垂らすだけでガラリと印象が変わるのが面白い。

きっと今の気分や体調によって選ぶ香りが違うだろうな、と思いながら”今の私の香水づくり”を楽しんだ。

出来上がった香水は三者三様。

甘く華やかな香り。高級感があり落ち着く香り。そしてハーブとミントとシトラスの爽やかさを詰め込んだような、今の私の香り。

帰り際、お店の前に咲いていたピンクゼラニウムが目に入る。空の青さに映えて、素朴だけど凛とした色が印象に残った。



大阪に帰ってから、少しずつ少しずつ香水を使っている。

手首につけた瞬間、ふわっと香る爽やかさに思わず笑顔になる。

日々の中でふと香りを感じるたび、あの沖縄の空とピンクゼラニウムの景色を思い出すのだった。

首里石鹸 星見 せいか