Vol.41 ウージ畑と守りぬし | ブログ SuiSavon -首里石鹸-

祖父の友人のウージ畑（サトウキビ畑）にはじめて訪れた時のこと。

「昔はさ、これが一等（いっとう）美味しいデザートだったんだよ。」と話す祖父の手には、（祖父の）友人から手渡されたサトウキビが握られており、祖父越しにみえる（祖父の）友人もやわらかな笑顔で頷く。

手に持った鎌で器用に皮だけを剥き、「はい、おじいちゃんの真似してごらん。」と、私にも差し出された。

思わず受け取ったサトウキビ。
祖父の幼少期の話で、こうしてサトウキビをかじっていた話は聞いたことがあるが、自分で体験するのははじめてだ。少し不安になり、再度祖父の様子を見ると、（祖父たちが言うには）柔らかい芯の部分を削らないように、だけど甘い汁がでてくるようにガジガジと噛んでは器用に汁だけを吸っている。

同じように真似してみるが、すぐに口の中は細かな繊維で溢れ、甘い汁を吸うどころではない。
さらには脆い部分を噛んでしまったのか、塊が口の中に転がり込み、あっという間に繊維で口の中がいっぱいになる。それは、今よりももっと小さかった頃に、祖父の作業場で間違っておがくずを被っててしまった時の口の中と同じ心地。いや、それよりももっと、、、

そんな感情が顔に出ていたのだろう、祖父と（祖父の）友人に大笑いされた。

外側の固い皮をむいて、内側の芯の部分を嚙んで飲む。簡単そうに見えて、中々難しい。。。

しばらく話したのち、（祖父の）友人が急に「ぴゅぃーーーーーー！」っと指笛を鳴らす。

すると茂みの中から1頭のヒージャー（ヤギ）が現れた。

「あれが、うちの守りぬしさ。」と呟き、おもむろに先ほどのサトウキビを頭の上で振り始める。

すると、ヒージャーはどんどんこちらを目指して近づいてくる。

近くに来たヒージャーはわたしと祖父を一瞥した後、すぐにサトウキビにかぶりつく。

「これ（サトウキビ）は、お客さんが来た時だけのご馳走だわけよ(笑)。」

そう話しながら、優しくヒージャーをぽんぽんと撫で、
「我が家の守りぬしにとっては、今でもご馳走だわけよ！」と話す言葉にまるで賛同するかのように、守りぬしが鳴いた。

・・・

あの日いただいたサトウキビは、申し訳ないが私の中ではご馳走にはならなかったし、今後も食べるなら黒ざーたー（黒糖）になってからがいい。

けれど、何気ない日常の記憶が今では大切な宝物になったように、いつかあの味を懐かしむことはあるのかもしれない。

まだまだ先だけれどね。

首里石鹸　中里ゆきこ

≪サトウキビ＆黒糖ひとくち解説≫
沖縄の方言でさとうきびは「ウージ」と呼ばれ、亜熱帯の自然に恵まれている沖縄で栽培されたさとうきびは、良質な黒糖になります。今でも沖縄の人たちの暮らしに根付き、お菓子のみならず沖縄料理にも使用されております。また、黒糖に含まれる“ラフィノース”は、腸内の善玉菌であるビフィズス菌を増やし、整腸作用が期待されていますし、ミネラルやビタミンが豊富に含まれているのも特徴です。“肌状態は腸内環境を表す”という言葉があるように、腸内環境を整えるためにも、黒糖を取り入れてみてもいいかもしれませんね。

※上記は成分の一般的な説明であり、製品に関する効能ではありません。

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