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首里散歩 Vol.399 水納島で出会ったおともだち

宮古島、石垣島に竹富島…
沖縄の離島はいくつか訪ねたが、本島から船で行ける島には、まだ渡ったことがなかった。

そこで、近頃北部の魅力を開拓中の私たちは、渡久地港から水納島(みんなじま)へ渡ることに。

高速船に乗船して約15分で到着する水納島は、上空からの姿が三日月の形をしていることから、別名「クロワッサンアイランド」と呼ばれる、可愛らしい小さな島である。

波打ち際を歩きながら、足元に押しよせる無色透明の波に、何度も感動する。

「実は海水って透明で、空の色が海に映し出されているのかもしれない!」と、不確かだけど、私は閃きの瞬間を大切にすることにした。

空一面にモコモコと、群れをなして現れたひつじ雲。
秋の訪れと天候の下り坂を予感する空模様に、「もう少しだけ、沖縄の海で遊ばせておくれー!」と空を見上げて願う。

パラソルに垂れ下がるスピーカーから聞こえてくるラジオの音に耳をすませ、三矢本舗の幻の味ブルースを頬張る。

シュノーケルを楽しむ家族を眺めながら、沖縄らしい風景・音・味の三拍子をのんびりと味わいながら、ひとり幸福感に満たされているとー

「お母さーん!あっちの方にねー、珊瑚礁がたくさんあって、お魚がたくさんいるんだよー!」と、駆け寄ってくる子供たち。

と思いきや、子供たちはふと驚喜の表情を浮かべ、私に向けられていた視線が逸れて、右のほうの何者かへと注がれた。

不思議に思った私は、テントの横をのぞいてみると・・・

そこには、色鮮やかで立派なムラサキオカヤドカリがいた。

「どうしてここにいるのー?そうだ!美ら海水族館から遊びに来たんじゃない?」
と子供たち。

偶然にも、水納島を訪れる前日、美ら海水族館で出会ったばかり。

子供達らしいユニークな発想と、ムラサキオカヤドカリとの突然の再会に、思わず笑みが溢れる。

「むらさきでおっきくて、かっこいいよねー!」

子供たちがしばらく観察していると、ギシギシと音を立てて、後退りしていく。

「怖がってるんじゃない?僕たちは『おともだち』だよ!大丈夫だよー!」

可哀想に思ったのか、「おうちに返してあげようよ!」と提案する子供たちは、主人に手伝ってもらい、ムラサキオカヤドカリをそっと優しく草むらへー。

茂みの奥にカサコソと入っていき、いつの間にか溶け込むように見えなくなっていた。

引き波を立てながら離れていく水納島を見つめ、「元気でねー!また会おうね!」と大きく手を振る子供たち。

もう見えないはずの「おともだち」を、まだどこか心の中で感じているようだった。

こうやって、出会いと別れをくりかえして成長していくんだろうなと思うと、何だか切なくなるけれどー。
今以上に、もっと丁寧に、私も子供たちに寄り添っていきたいと、あらためて感じるのである。

ライター
YAKAHA