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首里散歩 Vol.400 パラレル沖縄

用事があって繁華街に出てきた。
多くの人が目的地へと忙しそうに舵をとる。
大阪駅の周辺は特にだ

交差する人の波と流れに乗れず
肩がぶつかり、ペコペコとお辞儀をして
リズムを崩し、波にのまれて、もう溺れそうだった。

なんとか用をすませ、少しでも静かな場所へ
いっそのことと、地下に潜り込む。

人の気配はだんだんとまばらになり、
いくらか穏やかになった。

(さて、私はいったい何処にいるんだろうか。)

感覚で来てしまった事を思い出し、途方にくれ、キョロキョロと見渡す。
と、そこに飛び込んできたのは

「ここです!!沖縄」の文字!

(えっ!?沖縄?!?!)

まさかの案内に驚きつつも、迷うことなく身体はそちらへと向かっていた。
すると、曲がった先に見えたのは、

ちんすこうや、紅いもタルト、ラフテーにスパム!!
ナーベーラーもシークヮーサーまで!!

沖縄でみかけた品がずらりと並んでいた。
そして流れるメロディーは、ネーネーズさんや、イクマさん、ビギンさん!

(あれっ?私は今、何処にいるんだろうか?)

気持ちがフワフワとして、なんだかもう沖縄にいるんじゃないか?とさえ思った。

懐かしい―。
沖縄の空港やショッピングモールでみかけたお土産売り場がゴッソリやってきた空間。
小さな「シーサー」の置き物や「琉球グラス」は、沖縄に住んでいた頃、帰阪の際に選んだ家族や友人へのお土産だ。

マンゴー味やミンサー柄といった、ひとつひとつが心をくすぶり、ワクワクした気持ちを呼び戻す。

龍宮城のように時を忘れ、しばらく懐かしさに浸った。
気づけば、ショピングカゴを持ち、

(あーこれ食べたいー!)

(あー!これこれー久しぶりー!)

と、あれも、これもと手にとった。
購入した品が、大変重くなったのは言うまでもない。

どれくらいウロチョロしただろうか。
地上へ、戻ると辺りはいつの間にか暗くなり、目に見えるのは、きらびやかな高層のビル。

ストリートミュージシャンの音色
さっきまで沖縄に居たはずなのに・・・と、キツネに化かされた気分だった。

(さて、ここは何処だろうか)

ひとまずバヤリースを片手にゴクゴク。
プハーっと息をはいた。

今日はハードな1日だったけれど

しばらくは沖縄を噛みしめてすごせそうだ。

ライター
パッチンくるり