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首里散歩 Vol.401 手紙の続きを

最近、本を読む機会が減った。

友人と旅行先を決める時間でさえ、今はスマートフォンが中心だ。

そんな私たちが、画面を見せ合って「ここ!」と即決した宿がある。

400冊もの本が並び、宿泊者が自由に楽しめるカフェがある宿。

部屋にはテレビや時計がなく、いわゆるデジタルデトックスができる場所だ。

宿に着くと、大正時代の姿を残しながらリノベーションされた郵便局がお出迎え。

今日、一階のカフェはわたしたちの貸切図書館だ。

好きな席に座り、気ままにページをめくる。

小学生の頃に図書館で読んだ懐かしい絵本にも手が伸びた。

ふと、便箋に目が留まる。

遠く離れた沖縄に住んでいる、大切な人へ手紙を書こうと思った。

けれど、言葉を選んでいるうちに時間はあっという間で
結局、手紙は書きかけのまま、帰路につくことになった。

お宿はもちろん、料理も、スタッフの人柄も温かかった。

進みきらない便箋さえも、なんだか愛しく感じる旅になった。

デジタルじゃない時間は、ゆっくりと自分の中の好きを思い出させてくれる。

沖縄の歴史と自然に包まれながら、デジタルデトックスする旅を、次はしてみたい。

あの続きの言葉を、ちゃんと届けに行くためにも。

首里石鹸 井口 ひかり