私の母は戦後すぐに、米軍基地の中で働いていたそうです。
その影響で私がまだ小さかったころまで母は、耳で覚えた英語をまだ片言話すことができました。

そんな母がこだわったクリスマスというと…
我が家のクリスマスは、ケーキやプレゼントはなく、夕食は普段と変わらないチャンプルー。
でも、なぜかツリーだけは飾っていたのです。
それもオーナメントは本格的で外国製のもの。
クリスマスパーティーはやらなくても、飾りつけは年中行事でした。
色とりどりのオーナメントにツリーのてっぺんには、光輝く大きな星型の飾り。飾りつけが終わったと思ったら母は必ず、
「脱脂綿を枝にのせて雪のようにしないと」と、ツリーの仕上げには余念がありませんでした。
母にとって、米軍基地の中で見た輝くクリスマスツリーは、豊かさの象徴として映ったのかもしれません。

そして今、我が家のクリスマスツリーはというと…
毎年ハロウィンが終わると、早速クリスマスツリーの飾りつけをします。
クリスマスの1ヶ月以上前から。
キラキラと輝くツリーの光を見ているとポッと気持ちも暖かくなってきて、ワクワクウキウキします。
これがクリスマスツリーの、そしてサンタさんの魔法なのだといえばそうなのかもしれません。
ツリーの飾り付けが終わると、少し部屋を暗くして愛犬と今年のツリー鑑賞会。
ツリーのそばにちょこんと座る愛犬を見ると、

「君たちがサンタさんからのプレゼントだー。サンタさんありがとう。」と笑顔になります。
今ならわかります。
きっと母も幼かったわたしたちを見て「あなたたちがサンタさんからのプレゼントさぁ」と思っていたのだと。
クリスマスツリーは豊かさの象徴ではなく、暖かいしあわせの象徴なのです。
母も、クリスマスツリーを眺めながらしあわせいっぱいだったに違いありません。
今の私がそうであるように。

オーナメント一つひとつが大切な思い出として輝きます。
ライター
大城くいじなう