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首里散歩 Vol.416 ガジュマルの気根

大好きなガジュマルの木。

沖縄では頻繁に目にすることができるが、自生している環境では、根は可能な限り深く広がると言われている。また、幹や枝から降りてくるひげ状の『気根』が特徴的で、歩みを進めるように広がりながら、地面に到達すると土の中に入って行き、次第に太くなって幹の一部となり、成長していく木を支えていく。

鍾乳洞が崩れ落ちてできたガンガラーの谷では、ガジュマルの気根は崖の上から岩を伝って根が垂れ下がり成長していく。

高さが20メートルほどもある大主(ウフシュ)ガジュマルは、樹齢150年と言われているが、鍾乳石とガジュマル、どちらも時の流れの積み重ねを感じられる自然からの贈り物だ。

去年の春、人生で初めてのインタビューの仕事で、ソーマプライア沖縄の選手達に、じっくりと話を聞いた。
息子が6年ほどスクールでお世話になっているので、スポーツマンシップのある直向きな印象で信頼感が深いのだが。インタビューでは「トップチームで世界を目指す覚悟」や「厳しい現状と向き合い続けている言葉」を受け止め、幼い頃からのバックグラウンドにも話が及び、応援する気持ちに熱が加わった。と、同時に、好きなことを成し遂げる厳しさを目の当たりにした感覚を覚えている。

インタビューから一年の間に、2名がワールドカップビーチサッカー日本代表に選出され大活躍している。試合に出られない苦しさを話してくれたコーチ達も、今では華麗な先制点や勢いづく追加点を次々ともたらし、なくてはならない存在となっている。

そして、先日行われた沖縄カップでは、美しいフォーメーションでチームワーク力でも観客を魅了し、見事、ホームでの優勝を果たした。

得点や素晴らしいセーブが繰り返される度に、インタビューより前からの記憶や話に聞いたそれぞれのコーチ達のバックグラウンドを思い出し、胸に熱いものが込み上げてくる。
まるでガジュマルの気根が木を支える幹になっていくように、一見穏やかに、でも、根強くじわじわと張り巡らせていた根に気づいたような、そんな大会だった。

駆け足で通り抜けてきたような今年も師走が訪れた。
自分達の根を確認しながら、他にも見落とした大切なものがあるような気がしながら、まだ、溢れた感動の瞬間に留まっている。


ライター
首里石鹸 白鳥恵子


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