昔から嫌いだったニンジンが食べられるようになったのは、沖縄に住みはじめてからだった。
そう、ニンジンしりしりである。千切りにしたニンジンを炒め、味付けし、卵を絡めたニンジンしりしりは、はじめて食べたときに「めっちゃおいしい!」と思ったのだ。
なぜニンジンしりしりだけ食べられるのかは自分でもわからないが、今もニンジンしりしり以外のニンジン料理は嫌いである。
そんなわたしが先日、ニンジンの収穫体験に行った。
ニンジンの味はもちろん、匂いも嫌いなくせに、なんとなくニンジンをスポッと土から抜き取ってみたい、という変な好奇心だけで行くことにしたのだ。

畑に行くと、わたしの嫌いなニンジンが密集していた。
顔を近づけるとニンジンの匂いがしたけれど、なぜか不快感はない。
ニンジン酔いする不安を解消したところで、いざ収穫!

まずニンジンのまわりの土を掘り、スコップで深く掘っていく。
そしてニンジンをゆらゆらと揺らし、抜きやすくした状態で思い切りひっぱる。

前回はキャベツの収穫をしたが、キャベツよりもニンジンの方が簡単だった。なんとなくの感覚で抜けるのがいい。
すぐにコツを掴み、わたしと息子は黙々とニンジンを抜きまくる。たくさんのニンジンを地上に並べると、まるで昼寝中の人のように気持ちよさそうだった。




たくさんとれたニンジンを洗い終わると、子どもたちはニンジンを生のまま、ポリポリと齧りはじめた。

畑の主は食べても大丈夫と言うけれど、子どもが食べたものは自分も食べてみないと少し不安である。おそるおそる、洗ったばかりのニンジンをガリッと噛んだ。
おいしい。
そんなまさかと思いつつ、あまくておいしいニンジンをボリボリ齧る。
まさかわたしがニンジンを、しかも生のニンジンを、おいしいと思う日がくるとは。
でも本当においしかった。えぐみが一切なく、ただ甘いのだ。
子どもたちがニンジンに飽きて遊びはじめても、わたしはしばらく一人でニンジンを齧っていた。

この件で、わたしはニンジンを克服したわけではない。
収穫したニンジンはおいしくいただいたけれど、後日、普通に売られているニンジンを食べると、おいしいとは思えなかった。
だけど、すべてのニンジンが嫌いだと思うのは間違いだと気づいた。
「わたしにも好きなニンジンがある」
そのことに気づけたのは、なんだかとてもよいことな気がしている。
ライター
三好優実