4月15日は、西表島で新種として発見された猫〝イリオモテヤマネコの日〟だそうです。
犬派でも猫派でもない、いやどちらかといえば犬派寄り無所属の私は、訪れたときにはこの猫にそれほど興味を持たずにこの島に着いた。

マングローブに囲まれたこの島は2021年に世界自然遺産に登録されたということで、まずはそのジャングルの魅力と島にしかいない動植物を体験できるフリーツアーに参加してみることにした。
集合時間は朝陽が昇り始める頃、海岸線が三日月型に弧を描く〝月が浜〟からの出発。

朝焼けが海を照らし、次第に明るくなっていく空と、高くなる朝陽を浴びながら、マングローブが生い茂る川の方へとガイドさんと一緒にビーチサンダルでのんびりと海沿いの浜を歩く。


そのマングローブの木々達の足元に、小さなタイヤ痕を見つけるとガイドさんが立ち止まった。
その小さな小さなタイヤのような模様はヤシガニの足跡だそうだ。
普通にただ砂浜を歩いてたら気がつけなかった体験だ。
カニがどう歩いたらこの足跡になるんだろう?想像しながら通り過ぎた。

この島を知り尽くしながらも、日々探求し続けているガイドさんの話しを聞きながらしばらく歩いていくとまた、ガイドさんが立ち止まって声をあげた。
「あっ!これはもしかして!!」
また何かの足跡を見つけ、一緒に参加していた周りの人達もざわめく。
その足跡は島の絶滅危惧種・イリオモテヤマネコの足跡だと言う。

イリオモテヤマネコは西表島にだけにしか存在しない猫で、歩き方が〝キャットウォーク〟と呼ばれるつま先をチョンとしかつけない美しい歩き方で、この特徴のある足跡になるのだそうだ。
つま先をチョン…?想像しながら、つま先を砂浜でチョン、キャットウォークを真似て自分も歩いてみる。
ハッと我に返り振り向いたが、周りの人は猫の足跡に夢中でわたしの行動に気づいておらずホッとした。

普通の猫もいるにはいるが、そもそも西表島では家で飼っている猫を基本的に外に出さないことになっていて、さらに飼い猫には必ずGPSをつけることが義務化され、イリオモテヤマネコに感染症などが移らないよう管理され守られているのだそうだ。
「夜のほうが会える確率高いらしいです!」「途中の坂でそれらしき個体を見かけました!」
—島を巡るためバスに乗ると、道路のあちこちに【ヤマネコ注意⚠️】の標識やゼブラゾーンなどがあり、曲がり角は特に慎重に速度を落としているのがわかる。
ツアーのメンバー同士、目撃情報も飛び交っていてその熱い気持ちが初日の私には響いてくることもなく、ツアーを終えた。

「ちょうど今の時期は警戒心のない生まれたばかりのイリオモテヤマネコの子猫が出歩く季節なんですよ」と、運転手さんが話す。
道路脇の植栽までもがイリオモテヤマネコのカタチに綺麗に刈られていて、島全体がこの島のシンボルアニマルを守っていこう!という取り組みと、大切に想う意識が伝わってくる。

到着して30分でたまたま会えた旅行客もいれば、移住してから5年経ってもいまだに会えないという住民もいて
「会いたくても会えない、会いたい気持ちが強いほど会えない存在なんです…」と、ホテルのスタッフさんも、アクティビティの先生も口を揃えて同じことを切なそうに繰り返し語っているのを見聞きしていたら、詳しく知れば知るほど会ってみたくなるもので…
最終日には、イリオモテヤマネコが描かれたお土産ばかりを選び、会いたくて来た訳じゃないのに「会えなかったなぁ」などと思い始めていた。

またひとつ、沖縄の大自然の魅力に取り憑かれ、犬派寄りの矢印が猫に傾きかけた旅となった。
ライター
まちこ