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首里散歩 Vol.82 遺跡のまち 2021年2月4日

沖縄は、日差しが力を取り戻し、すっかり小春日和が続いています。

先日、市役所までの道のりを運転していて、
裏通りの木々のざわめきや、ところどころで睨みを利かせているシーサーや、
石造りの古い住宅の軒先で、風に揺れる花を見て、
自然に笑みが溢れている自分に気付きました。

「この街並みが好きだなぁ」と感慨に耽りながら、何が心を動かすのだろう。。。と、
速度を緩めて、ゆっくりと進みます。
私の住む地域では、急激に開発が進んでいますが、
いまだに人通りの少ない道では、信号がない交差点も残っていて、
便利ですが、都会すぎない、バランスの取れた場所です。

そこで、はたと気がついたのです。
そういえば…私の大好きな景色といえば、お墓だということを。
琉球墓は、家、そして古い石造りの村のように見えるようなものもあり、
片道20分くらいの市役所までも、20基以上は通るのではないかと思うくらい、
本当に生活のすぐ近くに存在しています。
大きな琉球墓が、住宅地や南国の植物の合間合間に見える景色は、
まるで、自然の博物館に生きているような、充実した時間をくれています。

そこで、なかなか外出する機会も少ないので、
一人で、近くの気になる茂みのお墓まで歩いてみました。

調べてみると、見慣れたその丘陵地一帶を『真志喜グスクヌハナ遺跡』というそうで、
なんと、貝塚時代後期の土器や貝塚、魚骨など、他にも鳩目銭、ガラス製臼玉、瓶子、
そして石器まで出土した場所だというのです!

知らないというのは、とてももったいないことです。

アパートや駐車場の横に広がる遺跡…
大好きな景色に引き寄せられる理由が、わかった気がしました。

真志喜グスクヌハナ遺跡の古墓は、戦時中に防空壕として使用された場所も多いそうです。
人々を戦火から隔てる壁ともなった場所。

とても一人で足を踏み入れることはできませんでしたが、
裏側に中学校が建設されても、なお残るこの一帯は、
古代からの人々の想いが詰まった場所だとわかり、
これからも、感謝をしながら、見守っていきたいと思います。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子