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首里散歩 Vol.87 導かれた旅路 2021年3月30日

初夏のような蒸し暑さを感じる沖縄ですが、
また県内で感染が広がり、遠出はなかなか勇気のいる状況になりつつあります。

最近、一昨年の今頃に行った久高島に、また行きたいなと度々思い出します。
久高島は、周囲が8キロ程度で、琉球の始祖アマミキヨが降臨したとされる場所で、
数々の神聖な御嶽や史跡がある、特別な島です。

島内の移動は、基本はレンタサイクルで、車は住民の方しか利用できません。
静かに続く長閑な道では、不思議と大自然の中に入り込んだ怖さのようなものはなく、
逆に、久しぶりに帰ってきたような気持ちになる場所でした。

久高島に行った話をすると「行けたんだ!」と、何人もの友達から不思議な反応がありました。
久高島へのフェリーは天候などの影響を受けやすく、すぐ止まるそうで、 行きたいと思っても、何度試してもどうしても行けない人がいるとか。
琉球王朝時代から神事が行われていた場所だということもあり、 選ばれたタイミングや人だけが、行ける場所だと言われているそうです。

そう言われてみると、当日は雨の予報で、出不精のわが家としては、普段あまり出さない実行力に突き動かされて叶った一日でした。

実は、その前日まで行っていた香港旅行も、
高齢で歩きづらくなった父の希望で、一念発起して、実家の三姉妹で企画したもので、
沖縄からは両親と息子を連れての初の試みでした。

5年ほど住んでいた家の近くのホテルに泊まり、
当時の思い出深い景色と場所をじっくりと楽しみました。

帰国してまもなく、香港の社会情勢は大きく変化して、渡航も難しくなり、
その和やかな思い出旅行も、あの時決断していなければ行けなかった『奇跡の時間』となりました。

そして、今になると、憧れて移住してきた沖縄の景色を、毎日身近に感じて過ごしている日常も、この場所に導かれた旅路が続いているような、そんな気持ちになるのです。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子