「台風」と聞くと、どこか “ワクワク”していた小学生の頃。
普段と同じ街並みなのに、そこにある空気や、植物、生き物、はたまた身近な大人たちまでもが、どこか“ソワソワ”しているように感じていた。
友達たちとじゃんけんをしながら帰るいつもの通学路を染める空が、綺麗なピンク色に染まり、皆と分かれた後、時折空を眺めながら立ち止まる。
家に着くと、手を洗うよりも先に、「お母さん!台風の空になってるよ!綺麗だから見て~!」と声を張り上げた。
今ではすっかり笑い話となった、雨漏りしすぎて階段に「滝」ができた事や、停電してキャンプ用のランタンに照らされながら、冷凍庫の大量のアイスをみんなで必死に食べたことなど、大小さまざまなハプニングが起こったが、家族でどうにかこうにか乗り越えるたびに、「これって家族の結束を高めるためのイベントなのかもしれないね~。」と笑いあった。
大人になって迎える「台風」は、あのころとは違う“ハラハラ”を運んでくるが、その度に、家族の救世主、おじぃの口癖、「しわねぇーんどぉー(心配ないよー)」を思い出しては、台風が過ぎ去った後の抜けるような青空を思い浮かべている。
首里石鹸 中里 有紀子