浜比嘉島に素敵な本屋さんができる!
という妄想をかれこれ1年くらい定期的にしていた。
実はそれは漠然とした妄想ではなく、東京で個人書店を経営していた方がうるま市に越してきたというインタビュー記事を去年、読んだからだった。
記事はその方が本屋さんをやるともやらないともとれる内容だったけど、私はなんとなくやるのだろうなと思ったし、やって欲しいなと願った。そして願望は思ったよりも早く叶い、本屋さんは「本と商い ある日、」という名前で浜比嘉島にオープンしていた。
すぐさま足を運ぶと、場所も佇まいも「このあたりにこういう雰囲気であったらいいな」と思っていたそのもので(ほんとうにそのもの!)、「わぁ」「素敵」「そんなまさか」「すごい」とひとりごとが止まらなかった。人に聞かれる心配がないくらい閑静な場所でよかった。
なかに入ると、私が持っている本が何冊も(パッと見ただけで10冊以上は)あり、さらにAmazonの「あとで買う」に1年ほど入れっぱなしにしている本が2冊あった。
「あとで買う」は今日買うための「あとで買う」だったのかもしれない。そう思うとうれしくて、すぐ買った。
あまりに素敵すぎたので、オーナーの高橋さん(インタビュー記事で見た人だ!)に声をかけ、写真を撮ることと、コラムを書くことの許可をもらい、その流れでいろいろと教えてもらった。お店のこと、おいてある本のこと、うるま市のこと。
そして、とびきり素敵な取り組みを教えていただいた。
それは沖縄を知るためのコラボ企画。毎月、その月にちなんだ”沖縄のなにか”をpickupし、高橋さんが文章を書き、作家さんがテーマに沿ったぬいぐるみを作るそう。
たとえば写真は11月16日の「琉球びんがたの日」にちなんだもの。紅型を着ているのは、フクギ(福木)にちなんだ「福木くん」。
毎月なんと2~4つほど作っているそうで、(大変!)ああ、こうやって沖縄に歩み寄る方法があったのか、こんなふうに毎月足を運びたくなる方法があったのか、と感動してしまった。
お店とオーナーさんの考えをのぞき見たくて、お店について綴った著書も購入した。すこしずつ読み進める中で、オープン前の日常を箇条書きした章に目が止まる。
そこには7時に起床し、子どもや家族のことを済ませた後、「10時 ネットで沖縄の店舗物件チェック」と書いてあった。
1日のはじまりのなるべく早い時間に、やりたいことへの一歩を選べることが素敵だと思った。すくなくとも私は、何年もそういう選択をしてこなかったから。
すぐさまタスクアプリをひらき、やるべきことで埋め尽くされた文字の中にひとつ追加した。かれこれ1年以上やりたいと思っててできなかったことの、まずはリサーチの予定だ。大事な一歩だと思った。あの素敵なお店だって、「ネットで沖縄の店舗物件をチェック」からはじまったのだから。
ライター
三好優実