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首里散歩 Vol.203 少し先を見通して

今朝も、朝陽の差した道路に現れる、息子の背中を、外の階段から見送った。

数年前は、学校に行きづらい時の応援の見送りだったけれど、いつの間にか、「もう大丈夫だけどね、でもありがとう。」なんて言葉がお互い思い浮かぶような感じで、中学に入ってからも、笑顔が溢れる、心地よい習慣になっている。

息子が少し元気のない日は、工事のおじさんがびっくりするくらい大きく手を振る。

息子が元気いっぱいの日は、こちらが恥ずかしくなるくらい大きく手を振り返してくる。

そんな素敵な朝のひと時は気持ちのリセットのためで、年頃の子育ては、特に下校の後の夕方からの時間が正念場となる。

うちでは救世主と言えば、猫たちの存在が大きく、どんな状況でも、猫の話題になれば、心が和らぐ効果がある。

特に、息子が一番猫たちの心をつかんでいるので、指一本で、それぞれの猫に効果的な方法で呼び寄せたり、おもちゃを取りに行かせたり、息子がベッドに横になると、必ず猫たちが甘えに行くというのも、悔しいけれど、その実力には一目置いている。

少し強く言いすぎたかな?と思った時は、息子の表情と一緒に、つい猫の顔も確認してしまうけれど、

「ごめんなさい、後からよくわかった」

なんて意外な言葉が返ってくると、もっとじっくり話を聞けばよかったという思いが、猫効果で、より強まる。

いつか一緒に見た、梅雨の夕刻の空のように、雨雲の奥にうっすら明るさが見えている、そんな時期なのかもしれない。

それでも、自分だけの世界、透明感のあるその色彩を残したまま育ってくれたら…と願いながら、今日も朝の見送りのような、心地よいリセットを探している。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子