Blog

首里散歩 Vol.228 いつもの景色が変わる時

沖縄に来てから9年ちょっと、目に馴染んでいる景色や色合いを感じては豊かな気持ちになり、以前よりも素敵な変化に気づく感性が、冴えてきた気がしていた。

昼からは雨の予報だった休みの日、どうしても釣りについてきて欲しいという息子。

最近、父子で盛り上がっているのを見守っていたけれど、その日は主人が不在だったので、母を誘い、いつもの公園を訪れた。

数回行っただけの割に手慣れた感じではあるものの、なかなか釣れず、場所を移動していく道すがら、釣り人に次々挨拶していく。前に来た時に、初心者の息子たちに色々アドバイスをしてくれた知り合いだという。

そうして辿り着いた海に繋がる川には、見たこともないような魚の群れがいた!

最初は『藻』が浮いているのかと目を疑ったが、

その動きはとても繊細で、強敵の魚が近づくと水面に上がってきたり、水底に潜んだりと、その場で見ているだけでも、生命の力強さを感じ、いつもの場所の『今』が脈々と息づいてきた!

以前お世話になったという方が、つきっきりで親切にアドバイスしてくださり、一年に3回くらいこの辺りに訪れるという「ミジュン(和名ミズン)」の大群だという。通り過ぎる人はみんな驚いていたが、釣り人にとっては、まぁあることだと、淡々と釣れる時に効率よく釣るためのアドバイスが続く。

いつも行く場所の、こんな現象を知らずにいたなんて…私の冴えた感性は、なんだったのだろう。

普段なら根をあげそうな息子が、サビキという複数の針がついたタイプのものに変えたり、錘(おもり)を繋いだりして、次々と『ミジュン』を釣り始めた!2匹、3匹と針に引っかかり、怖がる様子もなく、クーラーボックスに入れていく。初めて見るそんな様子を、母と目尻を下げながら、見守った。

そんな中、普段は川には入らないというエイが、海の方からやってきて、しばらく橋の辺りを行き来して、颯爽と戻って行った。

カメラを構えながら、夢中で追いかけていく私に、普段は杖をついている母まで、走って追いかけてきたと知ったのは、後のことだった。

結局、息子は28匹のミジュンを射止め、翌日は主人がメッキを2匹釣り、この日から、すっかりわが家に新しい風が吹いてきた。何日か経っても、まだその感動が冷めやらない。

これからも、いつもの景色、いつもの自分たちの変化を感じながら、沖縄を楽しんでいきたい。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子