カーテンからすり抜ける風が、カラリと乾くのを感じた朝。まるで水彩で描いたような空は、天高く透き通っている。そんな心地よい秋晴れの日は、どこかへ出かけたくなり車を走らせる。ラジオから、ブーゲンビリアが綺麗に咲いていると聞き、久しぶりに見に行きたくなった。
「わぁ~、懐かしい。久しぶりに来たな~。」
そこは、鮮やかな色彩で咲き誇るブーゲンビリアが並ぶ商店街。美しい情景に魅せられ、そこに漂う香りは、どこか懐かしいような、切ないような..胸の奥からたまらない気持ちが込み上げてくる‥。思い浮かぶのは、昔親しんだあの人の袖から香った、優しく甘い香り。
香りとともに記憶に残したくて、シャッターをきる。誰に共有するわけでもない、私だけの日記にブーゲンビリアの写真を添えて、想いを綴る。
「あなたは魅力で満ち溢れている」教えてもらった花言葉がふと頭をよぎる。
「今日はいつもの日常から少し離れて、ブーゲンビリアの余韻にひたるのはどう?」まるでそんな声が聞こえてきそうなほど綺麗に咲き誇るブーゲンビリアをながめ、再度カメラを持ち直す。
心の中で「そうだね。そんな日があってもいいかもね。」と返しながら、再びシャッターをきった。
首里石鹸 伊波みか
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