本当に、目まぐるしい数週間だった。
急遽、姉一家がロンドンから帰国できるという一報が入ってから、東京に住む妹も、せっかくなら子ども達もと、一人増え、また一人増え、結局三姉妹の旦那さんも含め、久しぶりに親族全員が沖縄に集うことになった。
まさかみんなでできるとは思っていなかった、母の誕生日と父の納骨。お食事会や写真館での撮影もして。
こぼれ落ちるような笑いが溢れて、夜な夜な繰り広げられた、結婚前の実家でのおしゃべりが、しっかりと未来に繋がっているのを感じた。
幼かった子どもたちは、すっかり話のわかる仲間のように成長し、顔つき仕草も誰かしらの面影があり、愛しくてたまらない。
そんな孫たちに囲まれた母のとびっきりの笑顔につられて、父の笑顔も見えたような気がした。
あれこれ忙しくしていた私は、そんな場を楽しむのに精一杯だった。
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ある日の帰り道、息子が「ちゃあちゃん(息子の祖母。わたしにとっての母。)のインタビューしたよ」と携帯の音声録音を再生し始めた。
最初は、慣れない大集合で疲れていないか、痛めている腰や脚の調子を10段階の数値で尋ね、しばらく母の説明を聞いて、母が語り終えた後、静かに「でも、疲れてる時に孫たちに会えるの、嬉しいんでしょ」と。そこからまた母が、成長した孫に会える喜び、娘達への感謝、そして「じいじがそれを感じられないのがかわいそう、でも分子になってその辺に飛んでるかもしれないけどね。」と、亡き父への気持ちまで語り、みるみるうちに元気になってくる。
少し驚いてしまった。普段は聞き役の母に自分語りをさせるなんて。そして、ありがたいなぁと思いながら、しばらく心でその気持ちを温めた。
10年前に、突然、みんなの故郷となった沖縄。
この地で育ってきた息子の『ちむぐくる』(うちなーぐちで言う、真心)と朗らかさは、まるでわたしたち家族みんなを見守り、支えてくれているように感じた。
ライター
首里石鹸 白鳥恵子