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首里散歩 Vol.345 クー太と出会って

『さて、明日はどこへおでかけしたいですか?』

私はおもちゃのマイクを持ち、子どもたちにインタビューをした。子どもたちの回答はそれぞれユニークだったが、生き物に興味を持ち始めた三男から

『沖縄にしかいない動物に会いたいな!』

とリクエストをもらった。

沖縄にしか生息していない生き物を調べてみると、イリオモテヤマネコにヤンバルクイナ、ノグチゲラにオキナワトゲネズミ。聞いたことのある生き物もいれば、初耳の生き物も。

ただどれも希少で、絶滅危惧種あるいはそれに近い生きものが多いことに気づく。

実は私も会いたかったのが、ヤンバルクイナ!
いつもより足を延ばして、本島北部に位置する「クイナの森」へ。

カーブだらけの山道に入ると、「ロードキル/ヤンバルクイナ飛び出し注意!」の標識があちらこちらに目に入る。

野生のヤンバルクイナに会いたい反面、

『ひいてしまったら、かわいそうだよ!森から出てこないでね!』

と、子供たちはヤンバルクイナの命を気遣い、道路の端を気にしながら、ゆっくりと車を走らせた。

どこからともなく青く光る煌びやかなトンボがやってきて、ヤンバルクイナのクー太のもとへ道案内をしてくれた。

▲のちに、リュウキュウハグロトンボと言う珍しいトンボだと教えていただいた。

『ねぇ、どうして1わしかいないの?さみしくないのかな。』

三男は動物園を想像していたようで不思議そうな顔をした。

ヤンバルクイナは攻撃的な鳥で、蹴り合ったり追いかけたりして縄張り争いをするため、1わのみ展示しています。と施設の方が教えてくれた。

『はーちゃんとお兄ちゃんが、お風呂の場所取りで喧嘩してる時と似ているね。』

と話しかけると、三男は小さく頷き、水浴びしているクー太をじっと見つめていた。

早朝や夕方になると、森にいるクイナと”キョキョキョキョキョー””ケケケケケ”と鳴き交わしているそう。

『本当はさみしいのかな?ぼくもお兄ちゃんがいないとさみしいから。』

と、クー太の心に寄り添う優しく素直な三男がとても愛おしかった。

その日は暑くバテ気味だと言うクー太は、おうちに帰ってからなかなか姿を見せてくれない。

そこで、施設の方がクー太の大好物であるミミズを少しずつ与えながら、私たちの近くへと誘い出してくれた。

そんなクー太を見て、

『僕も大好きなグミとチョコくれたら、ママのお願い聞いちゃうよ!』

と意気込む三男は、まるでクー太を自分に見立てているかのようだ。


それからというもの、お風呂の場所取りは自然となくなり、順番制になった。
そして、おやつを食べたあとのおかたづけも、きちんと出来るようになった。

三男はクー太と出会って、大切な何かを学んだのかもしれない。

ライター
YUKAHA