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首里散歩 Vol.387 遠くのジジババ 

わたしと夫は移住者だから、息子のジジババはちかくにはいない。
そのことが時々、申し訳ない。

遠方にいるジジババと会えるのは年に一度で、だから3歳の息子は会うたびに毎回すこし人見知りをする。馴染んだ頃にはバイバイだ。

わたしが幼いころ、ジジババはずっと近くにいた。すぐに遊びにも泊まりにも行けて、親よりもワガママを言っていい存在だった。

そんな存在がちかくにいないことで、息子は大人への親しみを最大限感じられずに育ってしまうかもしれない。

ジジババの畑にて

だけど最近、息子とジジババとの関係にすこし変化が現れた。

ジジババからはよく畑で採れた野菜や果物が届くが、配達のお兄さんが来るたびに息子が「ジージーバーバーから、おくりものかな?」と言うようになったのだ。距離が遠くても愛は伝わっている。

ときどき両家から届く果物がかぶって大豊作になる

遠くのジジババだけではない。
沖縄のジジババもとてもやさしい。

息子が1歳のとき、こんなことがあった。
スーパーに買い物に出かけた時のこと。ふたりで歩いていると、買い物中のおじいさんが近づいてきて、

「かわいいなぁ」と息子の頭を撫でてくれた。

ここまではよくあることだが(ありがたい)、さらにおじいさんは自身のポケットをゴソゴソとさぐりはじめ「ありゃあ、これだけしかないさ」ととぼけた顔をしてみせ、10円玉を息子にくれたのだった。

息子は不思議そうな顔をしながらも、好意が伝わったようで笑っていた。

つい先日は、やんばるで出会ったおじいに森を案内してもらった。

また別のある日、いつもよくしてくれているお姉さん(わたしの20個上くらいなので息子にとっては祖母みたいな存在)が息子にかき氷機を持ってきてくれた。

玄関先でいただいたところ、息子が親指をくいっと立てて「入ってもいいヨ」と気軽に誘っていて笑ってしまった。

息子は息子なりに、今ある人間関係から大人の優しさを受けとり、親しみを感じている。

いつか、他人の子と比べて「どうしてジジババが近くにいないの」と泣く日がくるかもしれないし、わたしの申し訳なさは年々増す一方かもしれない。

だけど今、息子に向けられるすべての愛や優しさは本物で、その温かさはちゃんと息子だけのものだということは、感じてもらえたらいいなと思う。

ライター
三好優実