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首里散歩 Vol.422 同じ場所

先日、何十年もの付き合いの友達が二組、沖縄に来てくれた。

「会いたいから時間を取ってほしい」なんて言われるとなんだかくすぐったいけれど、恐縮するような感じでもなくて、今自分を思い出してくれたことが嬉しくて、ほくそ笑んでしまう。

どちらの友達も、これまでも何度か来ているので、行く場所は私にお任せで、日程だけ空けて前日に詳しく決めようという、緩やかな約束だった。

最初に来たのは、20年以上前の職場でお世話していた学生アルバイトさん同士の夫婦で、私の実家の家族とも何度も旅をしたことのある二人。会う前日は、私が勧めた金武町に行っているという短いメッセージが届いて夜になり、そろそろ連絡しようかと思っていた頃だった。

「なんでここにいるの?」
と、暗い夜道で大笑い。宜野湾付近という曖昧な情報でホテルを取り、わが家の住所も控えて来ず、偶然にもうちの近くの居酒屋で夕飯を食べて、うちの最寄りのスーパーで買い出しをしてきた帰り道、暗がりの中で私に発見されたというから、ご縁の深さは相当なものだ。

その後、よく知る徒歩圏内のホテルのロビーで、主人や息子も一緒に盛り上がった。
二人が行って来たカヌーや観音寺の話で、記憶の風景を思い出しながら、翌日の計画を立てた。

そしてその翌週に来たのは、香港日本人学校の旧友だ。

お互い結婚も遅めで、猫好きで、両親を大切にしていて、父を自宅で看取った経験も同じで、数年ぶりの再会なのに目頭が熱くなった。

前週の二人と出会った当時、職種がお互いコールセンターでオフィスも近かったので、上司を連れて見学に行かせてもらった思い出もある。

もしや…と思い、泊まっているホテルを聞いてみるとやはり同じホテルで、この期間、何度となくエントランスに送り迎えすることになった。

結局、二週続けて全く同じお勧めの場所を何ヶ所か案内してきた。そして、それぞれ近所のおつきあいのある大好きなお店で食事をとり、実家の母とも嬉しい再会をしてもらった。

訪れた中で印象的だったのは、王朝時代から現存する国指定重要文化財である『中村家住宅』だった。

友達夫婦は建築や歴史に興味があるそうで、私よりパンフレットも読み込み、不思議に思うことを横から解説してくれた。

一方、香港の旧友は、家財道具や間取りの様式を空気と共に受け止めるタイプ。同じ場所で全く違う時間が流れた。

旧友と、もう十分見尽くしたかなと思った頃、見知らぬ男性から「面白いよねぇ、石畳もよく見ると真っ直ぐじゃないんですよ」と突然話しかけられた。目の前で確認できる建物の特徴から首里城や中城城にも関連づけた説明が見事で、断片的に知っていた建築家でもあった護佐丸のエピソードの裏話など、知りたかった情報の宝庫だった!

前の週にも以前来た時にもその姿に引き寄せられたシーサーは、戦時中の瓦についていたので、戦火の中、家を守るという本来の役目を全うできた珍しいシーサーなんだと、目配せをして教えてくれた。

もっと勉強をして、友達夫婦にも教えたいし、学校の子ども達にも聞かせる機会を設けたいと思い、連絡先を伺ったら、その男性は公式のガイドさんだった!数名友達を連れてきたら、ゆっくり案内をしてくれるとのこと!旧友が羨ましそうにしている。


実に沖縄らしい、ほっこりしながらも大切なことの詰まったやりとりにすっかり魅了された。

まだ見ぬ場所も気になるけれど、同じ場所で起こる重なりが活力になり、今日もまたそれに突き動かされて過ごしている。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子