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首里散歩 Vol.428 桜咲く一歩、見守るわたし

沖縄の琉球寒緋桜は例年1月から蕾がふくらみ咲き始める。

関東はまだ桜前線が近づく気配すらないのに、店のあちらこちらが桜色に変わり始め、開花までのわくわくを後押しする。

そして、その季節限定の香りや味を今年も確かめなくちゃ!
そんな衝動にかられるのは私だけではないかもしれない。

桜の、控えめでありながら圧倒的に存在感のある佇まい。
世界中の人々から愛され、魅了する桜のすべてが大好き過ぎて、1月に生まれた娘に「桜」の文字を入れて名付けた。

…ので、沖縄生まれだったらピッタリだったかもしれない(笑)

高校を卒業しすぐに就職した娘は、成人式が終わる頃にはすでに社会人2年目になっていた。

そして突然、一人暮らしをしたいと言ってきた。

なんの予想もしていなかった言葉に私は
「まだ早いんじゃない?」としか返せなかった。

少し前に巣立っていった息子は、結婚を考えていて家を出るんだというプレゼンテーションを、わたしたち親側の心の手綱を少しずつ緩めるかのように、時間をかけてゆっくり準備をしていった。

そしてなによりもこの人なら!という心強いパートナーを連れてきて、この2人が力を合わせれば大丈夫だなと、安心と喜びで見送ることができた。

だから、なんとなく娘もそんな風に準備の期間があると勝手に思っていたのだ。
料理は興味が出たらやらせてみようくらいに思っていたし、部屋はわたしが時々文句を言いながら、見るに余って掃除してしまうありさま。

この状態で1人で出て行かれては、大事な娘を丸腰で戦に向かわせるようなもの。
すぐに「うん」とは言えなかった。

娘が巣立って数年、今思う後悔といえば、あのとき娘の気持ちを汲んだり、じっくり話を聞いてあげることができなかったことだ。

言い始めたら引かない娘を引き留めるために「実家暮らしのメリット」を書き出し並べて、何度も必死で娘を説得してしまった。

結局――

「もう縛り付けないで自由にさせて」

はっきりと言葉にしなかったけれど、わたしにはそんな風に感じとれていたし、あっという間に娘は巣立ってしいった。

・ ・ ・

わたしが思う子育てのゴールのひとつは、子供が1人で社会で生きていけるように自立させるまで。

だから自立したっていう事実は、親として立派に役目を果たせた、素晴らしいことなんだよね…たぶん。

親としての自信も達成感も無い自分に言い聞かせた。

離れてみて、心配は尽きないけれど、親が思っている「子の安全」って、親が安心したいためだけのかもしれない。

そばにいれば安心だけれど、子供自身が本当の自分を見つけるタイミングを失ったり、失敗から学んで立ち直る力をつけるチャンスを奪ってしまうこともある。

離れて数年が経ってみた今は、そう思えるようになった。

そして、1人暮らしがすっかり板につき、いろいろなことにチャレンジして、ときおり失敗しながらも自分らしくのびのびと今を生きている娘。

そんな娘を見て今は、子育てを終え自由になる時間が増えた感謝と、わたしの子供達はみんな私よりずっとずっと立派に、自分の足で力強く自分の人生を歩んでいる、ということを誇りに思う。

今は時々、そろそろお掃除を手伝いに行かなきゃ!と娘のところへ行くわたし。

でも本当は、ただ顔を見に行きたいだけということを、たぶん夫も娘も気がついているであろう

沖縄で、応援の言葉はこんな風に言うらしいよ。

『ちばりよ〜!』

みんなで応援しています。
あなただけの桜色で、これからも咲き続けられるように。

ライター まちこ