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首里散歩Vol.145 パンを買おう 2022年8月29日

数ヶ月前、生まれてはじめて子どもを産んだ。

はじめての育児は、乳をやりながら1日がはじまり、乳をやりながら1日が終わる、という感じで、それが乳じゃなくオムツの日もあるけど、ほとんどだいたいがそんな感じ。

そんな日々は大変そうだなぁと出産前は思っていたし、思っていた以上に大変だけれど、だけど大変じゃなかったときの何倍もしあわせなので、子どもって凄いなぁと思う。

なんといってもかわいい。うんちもオナラもかわいい。乳を1時間飲み続けてむくんでいるときも、不機嫌なときも、白目をむいているときもかわいい。大好きが止まらない。自分よりも大好きな存在のために大変ならば、それはもうしょうがない。

そんな息子ボケ全開で過ごしているある日、久しぶりにパンを買いに行った。
約2ヶ月ぶりの外出だ。

久しぶりに行ったパン屋は、小麦の香りがやさしく充満していた。
ふっくら焼き上がったパンがいくつも陳列されていて、それは自分の記憶にあるよりも何倍もしあわせな空間だった。

パンの香りに触発されて、ひさしぶりに自分の欲望がめきめきと湧きあがる。
ああ、たしかに私はしあわせに暮らしてはいたけれど、自分自身の欲望は満たしていなかったんだなぁ。しあわせであることと欲望が満たされていることは必ずしもイコールではないんだ。

そんなことを思いながら、ふっくら焼きたてのパンを買って帰り、我が家の愛しい息子を抱きしめ、そして自分の欲望のままにパンをあたためて食べた。

ん〜〜、おいしい!
欲望をすぐに解消できていた日々もよかったけれど、いまの方が断然、パンから得るよろこびが倍増している。どうやらコスパがよい、というのは自分が自由であるかどうかも関係するらしい。

これからはときどき、おいしいパンを買いに行こう。
焼きたてパンからエネルギーをもらって、そしてパン屋の香りのように、家の中に愛情を充満させよう。

ライター
首里石鹸 三好優実

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