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首里散歩 Vol.214 私の青空

久しぶりの大型の台風直撃を前に、まだ、少し遠くを彷徨う風の音を聴きながら、やっと自分に向き合う時間を過ごしている。

母の住むマンションの管理人さんは、両親に会いに行くだけで、良かった良かったと目を細めて、自分のことのように喜んで見守ってくれた。

私が一人で両親のことに対応した、心細い局面で、いつも親身に声をかけてくれた。

自称『無口』なのに、生まれ育った戦後の首里の山での遊び方や、毎月参加する『もあい』(同級生の集い)の話など、時間が許すだけ、沖縄や管理人さんを知ることのできる、興味深い話をたくさんしてくれた。

そして「無理しちゃダメよ」と、緩やかに、心地よく過ごすことの大切さを、その姿で説得力を持って、話してくれた。

今日、最後の勤務ということで、いつも通りの立ち話をして、ありがとうの気持ちと、寂しくなったら、会いにいける常連のボーリング場などを再確認した。

「また絶対に会えそうですね」と言った時の、ニカッと笑った笑顔が焼きついている。

頑張っている時に、近くで見守ってくれたり、一緒に困難を乗り越えたり、そんな安心感を感じる心の要みたいな存在は、意外な思わぬところに、自分でも気づかないうちに育っていたりする。

そんな人との別れは、先日、海辺で一瞬現れた、虹の一部みたいな感じで、次の瞬間には、真っ青な空が何事もなかったように続いていく。

もう簡単に会えなくなっても、いつでもそばにいるような気がして、「この話をしたら、こんな顔で笑うな」とか、「こんな風に返すな」とか、想像するだけで力をもらえる。

台風が過ぎ去ったら、色々とがんばった私の青空に、そんな人たちの顔が、次々と浮かぶのを、楽しみにしている。
台風の被害が少しでも少なく済みますように。

ライター
首里石鹸 白鳥恵子