それぞれのやることに追われていた、夏休みの終盤…まさか、家族でカヌー体験をするとは思ってもみなかった。
19年目の入籍記念日だったから?
主人がいつになく積極的に手配してくれた。
いつもは手間取るアウトドアの支度もすんなりと進み、狐につままれたような感じで辿り着いた金武町の施設は、人も少なく、なんと、県民限定プランのコースはうちの家族だけだった!
景色に馴染むような雰囲気のインストラクターさんが、穏やかに誘導してくれて、豊かな一時間がゆっくり過ぎて行く。
背後に海が広がるところからスタートして、習ったばかりの、パドルの角度とカヌーの動きを意識しながら、川を進む。
一人乗りの息子を心配しなくていい心地良さ、子育てのピークももう過ぎたのかもしれない。
そんな喜びを密かに感じながら、海水と淡水が入り混じる汽水域にゆったりと根をおろすマングローブに近づいていった。
根が張る場所にカヌーで近づくのは、まるで枝の複雑な木に登る時のように頭を使うけれど、頑張って近づけば、素敵な出会いが目白押しで、パドル使いも上達してしまう。
木に動きを感じて、カニを見つけたり、
ぴょんぴょん飛び跳ねる、トントンミー(ミナミトビハゼ)のパワーにしばらく見入っていると、いつしか目尻が緩んで、身体の奥からエネルギーが沸き起こってきた!
なんだか今日は、息づく自然と自分たちの間に壁がない。五感が喜んで、勝手に働き始める。
今なら、家にいても、もっと感覚を研ぎ澄まして、新しい変化を起こせそう!
家族みんなが穏やかな笑顔で過ごした日は、そんなひらめきが止まらない日になった。
ライター
首里石鹸 白鳥恵子