Blog

首里散歩 Vol.470 最大級の水しぶきを浴びて

沖縄県最大の55mの落差を誇る〝ピナイサーラの滝〟を見るため、早朝のカヤック&滝壺トレッキングツアーに行った。

〝カヤック〟に〝トレッキング〟と2つ同時に体験できるお得なアクティビティと、この軽快な言葉の響きに、わくわくしながら朝5:00の集合を待つと、参加者は20代くらいのご夫婦と私の3名のみ。

集合するやいなや、懐中電灯を持たされ、トレッキングブーツとライフジャケットを着せられて、日の出前の真っ暗闇のなか出発した。

まずは滝のある麓までのヒナイ川を移動するため、2人乗りカヤックに乗り、わたしは前、うしろに先生がついてくれてのスタート!
パドルの漕ぎ方にはコツがあり、腕だけでなく腹筋にグッと力を入れ、脚は踏ん張るように押し、背中から大きく前後の力でテンポ良く動かすかなりの全身運動だった。

静寂のマングローブ林を抜け、休憩を兼ねて絶景スポットに立ち寄り朝陽を待つ。

朝陽をのぞむとまたそこからほどなくして滝のある麓へ向かった。

滝のあるテドウ山の麓へ到着したら、雨上がりの湿った岩の上を足元をふらつかせながら、休む間もなくトレッキングの始まりだ。

大地に力強く根を張った植物達に圧倒されながら、頂上に近づくにつれ山の斜面も急に険しくなり、目の高さまである崖のような道をよじ登るコースは想像を超え、トレッキングというよりほぼ登山。朝3:30起きのわたしにとって激しすぎるサバイバル訓練だった。

「…こんなことなら朝のバナナは半分じゃなく一本まるごと食べればよかったなぁ。」なんて後悔しながら、この登るしか選択肢がないという追い詰められた状況に、先生が話す山の植物ガイドもだんだん耳に入ってこなくなり…懸命に上を目指した。

次第に水の、サーーーッという音が近づいてくると、マイナスイオンたっぷりのミストを含んだ風も漂ってきて、「滝壺まであと少しなんだ!」言わずとも感じられるその空気に、最後の力を振り絞る。

ここ〝ピナイサーラの滝〟は、一日の入場制限があり、立ち入りには事前に申請することが義務付けられている西表島屈指の人気スポットと聞いていたので、人がいっぱいで賑わっているかと思いきや…オフシーズンの早朝だったこともあり、わたし達が1番乗り!

到着して見えた情景は、すっかり朝陽が登り、木漏れ日が注ぐ空。

55mも上から流れ落ちる滝のザーーッという壮大な迫力、滝壺から跳ねる水しぶきの天然のミストが、わたし達を力強く出迎えてくれる。

登りきった達成感でいっぱいの気持ちも相まって、なんて清々しい朝なのでしょうか!

その岩場で、円を囲むように座り、先生が淹れてくれたホットココアが乳酸の溜まった筋肉とぺこぺこのお腹に染み渡ると、全員の顔に笑みがこぼれた。

そして、お決まりのポーズで記念の撮影をひとしきり楽しんでいたら、気がついてしまった

「…またこの崖を降りて、そしてカヤックを漕いで戻らないといけないんだった!!」

帰りの山下りは、大腿四頭筋をフルに使い、下っているのか滑り落ちているのかわからない降り方で意外に早く戻って来ることができた。
すれ違うのは、これから滝壺へ向かうまだまだ元気いっぱいの人々、ご挨拶したものの、わたしのボサボサの頭と疲れきった顔が、「意外ときつかったよ…」と物語っていなかっただろうか?

そんなことを気にしながら、帰りのカヤックは、オールを漕いでる感覚も進んでいる感覚もほとんどない。

しばらくすると後ろから先生が「まちこさーん!オールをあげてもう休んでいて大丈夫ですよ〜、あとはわたしが漕ぎますから」と力尽きたわたしを察して声をかけてくれた。
ここで普通は「大丈夫です!がんばります!」とでも言うのでしょうか…
「わぁ!おねがいします!!」
迷いなく出てしまった言葉と、このカヤックが1人乗りじゃなくてよかったと、先生に心の底から感謝した。

すっかり陽が昇り、空の青色がマングローブを挟み水面に映る青色とリンクする、この素晴らしい景色を写真に収め、少し先をお二人でカヤックを漕ぐ20代ご夫婦の体力を、羨ましくも見守った。

ここで、最大級の水しぶきと思い出が色褪せないうちに、一句。

体力は

どれだけあっても

困らない

ライター
まちこ