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たてのシワ、よこのシワ

幼い頃、頭の中はいつも疑問でいっぱいだった。
今ではあたりまえと思うことも、納得する答えをもらえるまで周りの大人に何度も聞いていた。その中に今でも忘れられない答えがある。

それは、5月のある晴れた日に、祖母に連れられ、ハーリー(航海の安全や豊漁を祈願し、サバニと呼ばれる伝統漁船で競漕を行う行事)を見に行った時のこと。先に来ている祖父と弟を探すため、祖母の手をにぎり、大きなガジュマルの下で人波を眺めていた。
ふと、“どうして顔には、たてのシワとよこのシワがあるのだろう?”という疑問が浮かんだ。横に並ぶ祖母に尋ねると、「それはね、人生にはいろんな事があるからだよ。…有てぃん喜ぶな失てぃん泣くな人ぬ善し悪しや後どぅ知ゆる どぉ。」と返され、当時の私には難しすぎて全く解らなかったが、遠くであがる喝采をぼんやり眺める祖母を見ると、なんとなく聞き返す事ができなかった。

大人になって、祖母の言った言葉を調べてみると、沖縄の黄金言葉(クガニコトバ)だと知った。意味は、「人生は長いのだから、何が起こるのかは誰にもわからない。だから、良い事があっても過度に喜ばず、逆に悪い事があっても、いつまでも嘆き悲しんではいけません。あなたの人柄というのは、今のあなたの状況や環境だけで判断されるものではありません。人の善し悪しも同じです。本当のあなたの人柄がわかるのは、あなたの人生が終わろうとする時だから。」という事を知り、幼子への答えにしては随分壮大だな~と思った。

今年米寿を迎える祖母に、「昔ハーリー会場でさ~」とこの話をすると、「へ~私そんな事言ったんだねぇ~やっぱりいいこと言うさぁ~!どんな人にも、その人しか知らない、苦労や努力、喜びや悲しみがあるのに。そりゃ~たてにもよこにもシワが刻まれるよ~!」と明るく祖母が笑う。
私が、「そうだね~。だけど、出来ればシワはたてもよこも無い方がいいな~!」と言うと、「やっさ!(そりゃそう!)」と2人で大きく笑った。

相手を思いやる優しさと教えてもらった黄金言葉は、これから先もふとした瞬間に思い出すだろう。
そう思いながら、働き者の祖母の硬くしわくちゃな手をさすった。

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