首里の香り Vol.2 「これからの2人のはじまりの香り」

土曜日の朝。
いつもならベッドの中で週末限定の二度寝の幸せに浸っている時間に、慌ただしく部屋の片づけを始める。脱ぎ散らかした衣類をひろい、洗濯機に託したら、そこら中に置きっぱなしにしていた本達を棚に戻していく。

片づけがおわってシャワーを浴び、一息ついた時、ふいに「ピンポーン」とインターフォンが鳴った。焦る気持ちを隠しながら、何事もなく荷物を受け取り、差出人を見ると、2つ違いの妹からだ。珍しい差出人に、中身が気になってくる。

ベリベリと箱を開けると、一番上に置かれた手紙に、
「お兄にオススメ！！今は男子も美意識あげなきゃ！ミカさんと使って！」の文字。ぽいっと手紙を脇にどかすと、ふわっと鼻をかすめる香り。「お、なんかいいにおいがする。」箱をのぞくと、見慣れない容器が並んでいた。

ついていた冊子にぱらぱらと目を通し、容器を一つ持って洗面所に向かう。
蓋を開けると、途端に香る爽やかなでも強すぎない香りに、遠い昔、父の誕生日に家族で初めて泊りに行ったちょっといいホテルで、家族の笑顔と共に、母からプレゼントされた香水を、照れながらも嬉しそうにつけた父を思い出し、思わずふっと笑みがこぼれた。

爽やかな香りに癒されながら準備を終え、急ぎ足で駅に向かう。
改札の前で待っていると、「わー！久しぶりー！！」と、満面の笑顔が飛び込んできた。