ある日、いつも通る道に、たくさんのひまわりが咲いていた。
思わず二度見した。
昨日は1本だけだったのだ。1本だけ、こうべを垂れるように申し訳なさそうに咲いていたのが妙に印象的だった。なのにその翌日、こんなにもたくさんのひまわりが笑うように明るく咲いている。
急にこんなに成長するんだなと思った。まるで人間みたい。まるで息子みたいだ。
4月になり進級した息子は、たった1年でたくさんのことができるようになった。
入った当初は大泣きしていた保育室に、今はすたすたと歩いて入っていく。
歩けもしなかった彼は今や靴を履いて歩き、自分で靴を脱ぎ、なんとその靴を靴箱に入れることができる。
1年間、本当にあっという間だった。あっという間に人は歩いたり、靴を脱いだり履いたりできるようになるのだ。すごい。
すこしずつだと思っていたら、ある日とつぜん色んなことができはじめる。ひまわりも人間も、生きとし生けるものはきっと人が見ていないところですこしずつ育ち、とつぜんブワッと咲くのだろう。
ちゃんと見てなきゃな、と思う。咲いた花を見る人はたくさんいるが、咲く前から楽しみに見つめられるのは親の特権なのだから。
と思った日に限って夜泣きが激しく、わたしのちいさい器もいつかでっかくなるといいな…とひとごとのように思いながら、無心で息子をあやした。
ライター
三好優実