幼稚園に通っていた頃、毎朝手紙を書いていた。
手紙といっても、お気に入りの折り紙の裏に「いつもありがとう」とか、「だいすき」などと書き、先生やクラスメートを初め、送り迎えのバスのおじちゃんや、優しくしてくれた年長のお兄さんにも、一方的に手紙を渡していた。知らない子に、「わたし、まだもらってないよー!」と言われると、「明日書いてくるね~!」と言い、なんて書こうかな~♪などと考え、ワクワクしていた。
大人になり、手紙を書くことは減ったが、それでも家族や友人の誕生日やお祝いごとに、相手をイメージした便箋を探し、手紙を読んでくれた時を思い浮かべながら書くときは、あの頃と同じワクワクした気持ちになる。
先日、高校時代からの友人に3人目の子どもが生まれた。
お祝いを伝えるため、久しぶりに手紙を書いていると、友人との色々な思い出が蘇ってきた。
学校祭の衣装係になり、当日ギリギリの時間まで家庭科室にこもったってドレスを縫ったり、喧嘩して一週間口を聞かなかったのに、「なんで喧嘩したんだっけ?」って手紙が机に入っていたり・・・
あの頃の些細な日常が、今思い返すとすごく楽しい時間だったな~と思うと、手紙を書くことで自分の中に眠っているアルバムを久しぶりに開いたような気持ちになれた。
そんな、ちょっと言葉で言うのは照れくさい手紙と好きな物を彼女の自宅ポストに入れた帰り道。
あの頃によく聞いていた曲を口ずさみながら、車を運転していると、ピコンとなった携帯に、「大人になって手紙をもらうのって嬉しいね!私も今度、手紙で返事を書くから!それに、もうノートの切れ端じゃないからさ!笑」とメッセージが入った。
その言葉に「楽しみにしてる!」と返し、笑顔でハンドルを握り直した。
首里石鹸 中里 有紀子
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