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首里散歩 Vol.184 ガジュマルを買った 2023年2月27日

ガジュマルを買った。
ガジュマルといってもあの大木ではなく、ちいさな観賞用のガジュマルだ。

1年前から夫が欲しがっていて(だけどピンとくるものに出合えず)、口を開けばガジュマルガジュマルと言うので、私も気付けばガジュマルを探すようになっていた。

そんなある日、いつものように息子と散歩をしていたらオーガニックショップを見つけた。徒歩じゃなければ気づかないような場所にある、ちいさなお店。

気になって入ってみると、なんと観賞用のガジュマルがあるではないか。しかもかわいい。これが家にあるとうれしいと思った。

すぐに夫に報告。後日みんなで買いに行った。

数種類あるガジュマルはどれも少しずつ形や大きさが違い、それぞれにかわいい飾りつけが散りばめられていた。

どれも素敵で迷ったけれど、私たちはぽてっと丸みがあり、前のめり気味なガジュマルに「これがいい」と指をさす。夫婦のくせに意見が合うことはめったにないので、同時に「これ」と言うのは珍しいことだった。

こういう買い物はアタリである。即決し、お店の方とおしゃべりしていると「このガジュマルは神んちゅ(沖縄の霊能者)が育てたんですよ」と教えてくれた。

神んちゅが育てたガジュマル。ガジュマル自体やたら神々しい植物だと思っていたけど、さらに神んちゅが育てたのか。もはや神だ。ガジュマルをもつ手がすこし震えた。

帰宅し、たてまつるようにしてガジュマルを飾った。そしてその日以来、嘘みたいにいいことが続く。
…ということはもちろんない。だけど家にガジュマルを置き、枯らさないよう気にかける日々がなんだか気に入っている。

いいことが続くのが幸せなんじゃなくて、悪いことがあっても立ち向かえることが幸せなのかもしれない。日常という土台が愛しいから、幸せを諦めずにいられるのだ。
真っ黒な鉢に全身を沈め、前のめりに傾くガジュマルを眺めながら、そんなことを思った。


ライター
三好優実

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