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うむさん噺 Vol.46 鎌倉の地でよみがえる。お母様と巡った沖縄の記憶

お母様との、一番幸せだった沖縄旅行の記憶――

一人で鎌倉を訪れていたお客様。

私は最初、日本語で案内しましたが、「はい」と簡単な返事をされるだけでした。

たくさんの香りを試されたあと、ハンドクリームの3本セットを購入してくださいました。

お会計の際、免税手続きのためにパスポートをお預かりしたことで、私と同じ台湾出身だと分かったのです。

国境を越えた地で、同じ故郷を持つ者同士だと分かった瞬間、それまでのスタッフとお客様という少し距離のある空気感は、一気に親しみのある雰囲気へと変わりました。

そこから、お客様が「なぜ、鎌倉の首里石鹸に入ってきたのか」という本当の理由を話してくださいました。

お客様はコロナ前にお母様と一緒に沖縄へ旅行し、その時に首里城、そして首里石鹸に立ち寄っていました。当時は何を買ったのか、細かい記憶までは残っていなかったそうです。

ただ、「お母様と幸せな思い出が残った場所」として、お店のことがずっと心に刻まれていました。

お母様が亡くなってから、気分転換のために一人でいろんな場所を旅していたお客様。ちょうどこの日、鎌倉を観光していたら、目の前に首里石鹸の店舗が飛び込んできたのだそうです。

「すごく懐かしくてお店に入った、もう一度沖縄に行きたい」

そう仰るお客様の言葉を聞いて、私自身も胸がいっぱいになりました。

初めてお会いしたにも関わらず、そんな大切な思い出を私に共有してくださったことは、簡単なことではなくとても勇気がいることだとおもいます。だからこそ、お客様からそこまで信頼していただけたことが、私はとても嬉しかったです。

ただの接客としてお話を伺うのではなく、自分自身も大切なことを共有していただいているような気持ちで、真剣に耳を傾けていました。

今年の秋には、首里城が完成(復興)する予定です。

私はお客様に、「是非お母様の思い出を抱いて、復興の首里城に行ってみてください」とお伝えしました。

すると、お帰り際にお客様は、

「同じ台湾人として旅の途中に自分の思い出を共有できたことが本当に嬉しかった」

「次回の旅行は沖縄に行く予定になりますよ」

と言っていただきました。

私はいつも、笑顔で接客することを常に心がけています。

シンプルなことではありますが、笑顔はどんな方とも一気に距離を縮めてくれるからです。

台湾の方はお話好きな方が多く、地元が同じだったりすると、グルメの話や最近のスポットなど会話がどんどん広がっていきます。

この日も、同じ台湾出身だからこそ、とても自然な気持ちでお話しすることができました。

今の時代だからこそ、人とのつながりや温かさは以前よりもさらに大切なものになっていると思います。誰かと話すことや、人の温かさに触れることで、少しでも心が温かくなるきっかけになれば嬉しいです。

「このアドバイザーさんは優しくて話しやすい、何でも気軽に相談できる」と感じていただき、接客を受けて良かったと思っていただけるアドバイザーになることが、私の今後の目標です。

首里石鹸はお客様と大切な人との思い出を作れる場所だと、心から感じられた1日でした。

今日出会えたこととこの気持ちを忘れずに、これからご来店のお客様にたくさんの良い思い出を作っていきたいと思います。

首里石鹸 呂羽涓