Blog

首里散歩 Vol.471 一緒に着たい

うちの会社では、毎年、従業員とその家族を招待する夏祭りが開催されている。

長女が参加するのはもう6回目くらい。

子どもたちは浴衣や甚平を着て参加する子が多い。

今年も夏祭りの日が近づいてきた。

その前日の朝のことだった。

「今年の会社の夏祭りは、ママと一緒に浴衣を着ていきたいな。」

バタバタな朝食の時間だったが、一瞬時が止まった。

いやいやいやいや、大人で着てきている人は見たことがない。

そもそも結婚してから一度も着ていないからきれいに着れないかも・・・
帯だって、若い子だったら既に形ができている、刺すだけの帯でもいいかも知れないけど、この歳だとちょっと似合わないのでは・・・・

「着ない」ための言い訳ばかりが頭をよぎる。

でも、娘の期待に満ちた顔をみたらその場で断ることはできなくて、一旦は「ん〜どうしよっかな〜」とはぐらかして、忙しい朝の日常に戻った。

この日は、出張の間中、一日ずっと、どうするか考えていた。

浴衣は、ある。
私の母が嫁入りする時にあつらえた、紺地にカーネーションが描かれた落ち着いた浴衣。

もう、確実に、20年以上は着ていない。

私自身は母と一緒に浴衣を着た思い出が無い。

私や妹に浴衣を着せたらそれだけで満足で、一緒にお祭りに行っても、私たちの浴衣をちょこちょこ整えたり、座り方に気をつけるように教えてくれたりしていたけれど、母が着ているところは見たことがなかった。

ふと、歩道を見ると、通学途中の高校生が目に留まった。

一人で、音楽かなにか聴きながら歩いている。

きっと、うちの娘もあと8年・・・いや、あと4年くらいでこんな風に一人で歩いて出かけるのかも知れない。

そう思ったら、とても寂しくなってしまった。

「よし、娘が一緒にって言ってくれるうちに、着よう!」 そう決心して、一緒に浴衣を着て夏祭りに出かけた。

着てみると、少し背筋がピンとなるような感覚とやっぱり恥ずかしい思いが入り混じった。

でも、娘からの
「ママ、かわいい!」の一言で、恥ずかしさなんてどうでもよくなった。

鏡の前に2人で並んでとてもうれしそうな娘。

会場につくと、知り合いたちから「お揃いで浴衣!いいねー!」と声をかけてもらい、とても満足そうだ。

ああ。着てよかったな。

中学生になって部活が始まったら、気軽に沖縄にも一緒に帰ってくれないかもな。

そう思うと、本当にこんなに一緒にいられるのはあと4年かもしれない。

少しでも、一緒の楽しい思い出を作ろう。

そう強く思った暑い夏の日だった。

ライター
かなえーる